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【西論】東京五輪で勝てるのか…市民マラソンブームを憂う 「エリートマラソン」隆盛なくしてメダル無し

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【西論】
東京五輪で勝てるのか…市民マラソンブームを憂う 「エリートマラソン」隆盛なくしてメダル無し

2014年の大阪国際女子マラソン。沿道の市民の大声援を受け、道頓堀を通過する(左から)前田彩里、ナタリア・プチコワ、渡辺裕子(山田哲司撮影)

大阪国際女子、新記録、スター選手…日本の“国力”を象徴

 2007年にスタートした東京マラソンの成功以降、大規模な市民マラソンが各地で人気を集めている。関西でも、11年の大阪マラソン開催以降、同年の神戸マラソン、12年の京都マラソンと3大都市すべてが毎年、市民マラソンを開催している。競技者の裾野は爆発的に広がった。一方でこうした市民マラソンの隆盛は、“エリートマラソン”と呼ばれるアスリートによる競技大会にまでつながっていない。これはかつて「お家芸」とまでいわれた日本のマラソンにとって、決して好ましい状況ではないはずだ。

多くのメダリスト育てる

 エリートマラソンは、参加資格(持ちタイム)を設定した文字通り“エリートランナー”のみが集う大会だ。純粋なエリートマラソンは、福岡国際マラソン(参加資格2時間40分以内)▽びわ湖毎日マラソン(同2時間30分以内)▽大阪国際女子マラソン(同3時間13分以内)▽横浜国際女子マラソン(同3時間15分以内、終了)。なかでも横浜国際女子の前身の東京国際女子は、国際陸上競技連盟公認の初の女子マラソンとして1979年に誕生。交通事情などで2009年から舞台を横浜に移していた。

 ショッキングなのは、それほどの老舗大会が昨年11月16日の開催を最後に幕を閉じたことだ。理由は財政難だった。スター選手の不在などでスポンサー収入に苦しむようになったという。

 こうした現状を、ロサンゼルス五輪女子マラソン日本代表で現在スポーツジャーナリストの増田明美さん(51)は危惧する。

 「東京マラソンなど市民マラソンはいわばスポーツのお祭り。オリンピックや世界陸上競技選手権大会とは緊張感が違うし温度差がある。アスリートにとっていかがなものか」

 そして、増田さんは、世界の強豪と戦ううえでは「やっぱりエリートマラソンは必要」と指摘する。

 1992年バルセロナ五輪で銀、96年アトランタでは銅と連続メダルを獲得した有森裕子さんや、2000年シドニー、04年アテネと連続で金メダルを獲得した高橋尚子さん、野口みずき選手(36)=シスメックス=のいずれもがエリートマラソンで力を付けたことを考えれば、世界の舞台で勝つにはエリートマラソンは不可欠だろう。

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