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【若手記者が行く】妖怪か伝説か、謎呼ぶ「カラス天狗のミイラ」に“科学のメス”が入った

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【若手記者が行く】
妖怪か伝説か、謎呼ぶ「カラス天狗のミイラ」に“科学のメス”が入った

 「和歌山県御坊市に『カラス天狗(てんぐ)のミイラ』がある」。紀伊半島南部の海沿いの街を取材していると、市民からこんな驚きの情報がもたらされた。天狗は空想上の存在のはずだし、しかもミイラになっているとは…さまざまな疑問が浮かんだが、やはり実物を見ないことには信じがたい話だ。そういえば、昨年はテレビ大阪系の人気アニメ「妖怪ウォッチ」が大ブームを巻き起こし、年末のNHK「紅白歌合戦」でも話題を振りまいていた。ミイラの謎を探るため、安置されているという「御坊市歴史民俗資料館」を訪ねた。(和歌山支局 土屋宏剛)

不気味な姿をした「ありがたい神」

 和歌山市内から車で約1時間。同資料館のさほど広くない展示室に入ると、問題のミイラはいた。こちらをにらみつけるような目、異様に飛び出したくちばし、とんがった両耳…思わずゾッとした。高さは39センチで、幅は10センチほど。天狗と聞いて、人間より大きいミイラを想像していたが、意外に小さかった。

 中村貞史館長によると、このミイラはもともと平安時代の天慶4(941)年、一人の僧が奈良・大峯山で修行していた際、「安産除悪の秘符」とともに天から降ってきたと伝えられる。

 江戸から明治時代にかけて、山伏がこのミイラを厨子(ずし)に納めて背負いながら各地を行脚し、御利益を説いては胃薬を売っていたという。厨子には霊験を高めるためか、天狗が持つ団扇(うちわ)があしらわれていた。

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