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【阪神大震災20年 未来へのバトン】(1)「人を救えるのは人しかいない。最後の一人まで助ける」ボランティア、村井雅清さん

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【阪神大震災20年 未来へのバトン】
(1)「人を救えるのは人しかいない。最後の一人まで助ける」ボランティア、村井雅清さん

被災地NGO協働センター代表の村井雅清さん=神戸市兵庫区(頼光和弘撮影)

 これを1個400円で販売し、売り上げの一部を被災者に還元して自立をうながし、センターの活動資金にも充てた。趣旨に賛同した人たちにより、1カ月で5千個売れたこともあった。「自助」「共助」の精神を先取りする試みだった。

   ■ ■ ■

 「足湯」「まけないぞう」に共通するのは被災者の心に少しでも近づこうとしたことだ。「被災者の生の声を聞き、寄り添うことの積み重ねで、何をすればいいかが見えてくる」と訴える。「人を救えるのは人しかいない。最後の一人まで助けたい」。そうポリシーを掲げ活動してきた。

 震災から20年の節目の年に、センターの代表を退くことを決めた。理由を「会社員なら65歳で定年退職。ぼくもこのへんでいいかと思って」とはぐらかすが、後を任せられる若手が育ったことが大きい。

 村井さんの志を継ぐのは、センターで活動を続ける男性(26)。神戸大入学直後にボランティアサークルに入り、能登半島地震の被災地での活動報告会で講師を務めた村井さんと知り合い、共に活動を続けた。

 23年3月に東日本大震災が発生すると迷わず休学して被災地に入った。想像を超える惨状に「中途半端な活動はできない」と覚悟を決め、家族の猛反対を押し切って大学をやめた。

 「村井さんのように一人一人を大切にする姿勢を受け継ぎたい。試行錯誤しながら、よりよい形を探そうと思う」。被災者と触れ合ってきた経験を糧に新しい形を模索する。

 「彼になら任せられるのではないか。今後のやり方について口出しをするつもりもない」と村井さん。「ボランティアは勝手にやるものだし、被災者の抱える事情は十人十色。自分の頭で考えることを忘れず活動を続けてほしい」

 この20年で、白いものが増えたあごひげに触れながら、エールを送った。

 ◇ 

 発生から20年となる阪神大震災は多くの人生を変えた。ボランティアや教育など、それぞれの分野で20年を駆け抜けた経験者がいる。その思いを今、若い世代が受け継ごうとしている。未来に「バトン」をつなごうとしている人々の姿を追う。

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