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【阪神大震災20年 未来へのバトン】(1)「人を救えるのは人しかいない。最後の一人まで助ける」ボランティア、村井雅清さん

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【阪神大震災20年 未来へのバトン】
(1)「人を救えるのは人しかいない。最後の一人まで助ける」ボランティア、村井雅清さん

被災地NGO協働センター代表の村井雅清さん=神戸市兵庫区(頼光和弘撮影)

 「戦争も体験したけど、この年でこんな目に遭うなんてなあ…」

 阪神大震災の発生から10日が過ぎた平成7年1月下旬、避難所となった神戸市兵庫区の高校体育館。いすに腰掛け、たらいの湯に足をつけた高齢の女性は、男性ボランティアにそっと手をさすられると、ぽつりとつぶやき、涙を流した。

 暖房器具や風呂もなく、冷え切った避難所で身を寄せ合っていた被災者は、ひとときのぬくもりを求めて足湯に長蛇の列を作った。神戸で生まれた「足湯ボランティア」は、翌8年に発足した「被災地NGO恊働センター」が中心となり、新潟県中越地震や能登半島地震などの被災地でも行い、広まっていった。代表の村井雅清さん(64)は「湯に足をつけると緊張がほぐれる。手をもんでもらったり、さすってもらったりするとリラックスできる。足湯は被災した人たちとの距離を縮めることができるんです」と語る。

 足湯によって被災者の口から思わず漏れる、生活への不安や現状への不満。村井さんらは、被災者の本音をカードに記録して、何が必要なのかを考えてきた。被災者に寄り添うだけでなく、行政など公的機関の支援が行き届かない“隙間”を埋めようとしてきた。

 支援物資のタオルを使って作る、ゾウの形をした壁掛けマスコット「まけないぞう」も、被災者に寄り添った形だ。

 震災から2年が過ぎたころ、仮設住宅の独り暮らしのお年寄りを中心に、不慣れな環境で部屋にこもってしまい、誰にも看取(みと)られずに亡くなる「孤独死」が問題になっていた。

 「被災者が熱中して取り組める何かがあれば、つらさや孤独感を忘れられるかもしれない」。仮設住宅の被災者に呼びかけ、知らない人同士でも一緒になって糸と針で縫製してもらった。愛らしい「まけないぞう」ができあがるたび、笑い声が上がり、新たな絆が生まれた。

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