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【関西の議論】
放っておくと死ぬ!? 「厄年」「天中殺」をどう乗り切るか…霊感・開運商法にご用心

大阪府内の60代女性は、平成24年、約2万円の開運ブレスレットを購入したことをきっかけに、東京都板橋区の業者と連絡を取るように。「霊が災いしている、水子が足を引っ張っている。あなたの娘が悩んでいるのもそれが原因だ」などとして、祈祷料36万円を支払わされた。
その後も、「先祖には人をあやめた者もいる」などといわれて「ここで供養しなければ克服できない」と思い込み、約4カ月の間に計約418万円を献金。疲れ切って弁護士に相談し返金を求めたが、約100万円しか取り戻すことはできなかったという。
神戸山手大学現代社会学部の村上幸史准教授(社会心理学)によると、多くの人が過去に、備えを怠ったことで後悔した経験をもっている。「悪い運勢を聞くと、将来後悔することを予期し、それを防ぎたいという強い思いを抱くことは珍しくない」という。
悪いことほど“的中感”強く
また、村上准教授の研究で、占いを信じる人はポジティブな結果よりもネガティブな結果をより「的中した」と認識する傾向があることが分かっている。自分でコントロールできない過去や未来のネガティブな運勢を強調する霊感商法は、こうした心理を巧みについた手口だといえそうだ。
どうすればこうした被害に遭わずにすむのか。武藤さんは「運命などを強く決めつける人に話を聞くのは避けた方がいい。誘導され、だまされることにつながります」とアドバイス。加納弁護士は「高額の祈祷料を払ったから悩みが消えるということはありえない。悩みを話せばつけ込まれるので、自分の悩みを簡単には言わないことが大切です」と話している。