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【世界的科学者の研究人生(4)】ええ加減な大阪はまさに「ゆらぎ」 良い加減を世界に発信したい 大阪大特任教授・柳田敏雄さん

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【世界的科学者の研究人生(4)】
ええ加減な大阪はまさに「ゆらぎ」 良い加減を世界に発信したい 大阪大特任教授・柳田敏雄さん

柳田敏雄・大阪大特任教授

 --大阪大学の吹田キャンパスにある脳情報通信融合研究センターのセンター長をされています。筋肉で明らかにした分子の「ゆらぎ」は、脳にもあてはまるのでしょうか

 柳田 脳はものを考えるとき、エネルギーを1ワットくらいしか使わない。脳と同じ仕組みをコンピューターでやらそうとしても、神戸の理化学研究所のスーパーコンピューター「京」を使ってもだめなんですけど、あれは3千万ワットくらい使いますので、3千万分の1のエネルギーで働いている脳を、まだコンピューターは再現できない。そういう言い方をすれば、あめ玉一つで半日くらいは動く脳は、人工機械よりも圧倒的に効率がいい。

 --それほど省エネだったとは

 柳田 脳がどれくらいエネルギーを使っているのかを、休んでいるときと、ものを考えているときとで測定しましたが、ほとんど差がなかった。

 --集中するとエネルギーを使っているような気になりますが

 柳田 あれは血液が流れて顔が赤くなっているだけで脳の中はぜんぜん使っていない。たとえば、サッカー選手のネイマール(ブラジルのエースストライカー)が、なぜあれだけすごいプレーをするのか、彼の頭の中がどうなっているのかを調べる研究をしたんです。

 --興味深いですね。結果は

 柳田 シュートをするときに、脳の活動はほとんどなかった。プレーのうまい選手ほど、ここでシュートっていうときに使うエネルギーは少ない。ひらめきなんですよ。逆に素人は何をしているかというと、あれかな、これかな、と悩むので、ものすごくたくさん活動する。

 --天才と凡人は脳の働きがまったく違う。どのような原理ですか

 柳田 確定というわけじゃないんですけど、やっぱり揺らいでいるんです。ネイマールはシュートする前にいろんな運動パターンを脳の記憶や経験から取り出して、ふらふらと探しているんです。ふらふら探しているとエネルギーを使わないんですよ。ふらふら、というのはネガティブな印象だけど、いろんな可能性をトライアンドエラーで探しているということでしょ。優柔不断なやつはだめという言い方もするけど、逆に言うと、いろいろな可能性をサーチしているというとらえ方をすれば、まさにそうなんです。

 --機械のように制御されていないからこそ、スーパープレーが生まれる

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