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【浪花ぐらし】悶絶2回…化粧し忘れスッピン出勤、下を向いて過ごしたのに

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【浪花ぐらし】
悶絶2回…化粧し忘れスッピン出勤、下を向いて過ごしたのに

 仕事始めから1週間。正月モードからやっと平常モードに切り替わった。最近、このギアチェンジの際、妙なことが起きる。

 例えば、昨年は初出勤してパソコンを立ち上げようとしたらどうしても立ち上がらなかった。最初にパスワードを打ち込み起動させるのだが、何度やってもエラーが出る。おかしい。正月前までは確かに動いていたのに。

 会社のありがたいところはそんな時、お助け部署があること。早速電話をかける。「あのあの、いつものパスワードを打ち込んでも動かないんですっ」

 あせり気味の訴えに担当者がクールに対応してくれる。言われた通り再起動させたらすんなり動く。なんのことはない。必要な文字を入れ忘れ数字だけを打ち込んでいたためだ。単にパスワードを間違えていたということ。それにしてもあれほど毎日使っているものなのに、こんなにきれいに忘れてしまうとは。

 さて、今年も忘れ物だ。これも今まで経験したことのない忘れ物、心底びっくりした。

 朝、出勤してエレベーターに乗り込んだ。寒風にさらされた髪の毛を整えようと鏡をのぞきこむと、なんか妙に顔がうすらぼんやりしてみえる。なんだかなあ、と顔を近づけてアッと気づいた。化粧してくるのを忘れた。

 朝起きると一番に化粧をする。着替えよりも食事よりも前。面倒なことは先にすませたいのだ。ところが今日はなぜか先に食事をしてしまい、それで手順が狂った。

 若い時は化粧が面倒くさく素顔で平気だったが、いつのころからか化粧は必須となった。顔面に広がるシミ、そばかすをコンシーラーで塗りつぶし、薄くなった眉を描き、たるんだまぶたに目張りを入れ、口紅を引いてやっと外出する。それがまるごと抜け落ちた。

 メガネをかけてながめるほどに寝起きのままの間抜けな顔。その日一日、下を向き静かにやり過ごす。やっと事なきを得て帰宅途中、今度は別のことに気づいてショックを受けた。あらぁ。化粧を忘れたことを誰も気づかなかった。というか誰もそんなこと気にしなかったよねえ。だとすると毎朝のあの作業は一体何なのだ。

 自問自答で始まる新年だ。(編集委員・石野伸子)

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