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大阪市で空き家など老朽家屋に関する相談が5年前の3倍に 屋根が落下、害虫発生… 指導を無視する悪質所有者も

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大阪市で空き家など老朽家屋に関する相談が5年前の3倍に 屋根が落下、害虫発生… 指導を無視する悪質所有者も

老朽化して天井が崩落した状態の空き家=大阪市生野区

 全国の政令市の中で最も多い空き家を抱える大阪市で今年度、倒壊や火災が懸念される老朽危険家屋をめぐる住民らの相談が170件に上り、5年前の約3倍となったことが6日、市への取材で分かった。屋根瓦が落下したり、害虫が発生したりして近隣住民の迷惑となるケースもあり、全国的に深刻化する空き家問題を反映した格好だ。行政の是正指導を無視する悪質な所有者もおり、市側も頭を抱えている。

政令市で最多28万戸「通学路、瓦が落ちてきて怖かった」

 「子供の通学路なのに、瓦が落ちてきたこともあった。とても怖かった」。大阪市生野区の女性(82)は、長年放置されている近隣の空き家(約40平方メートル)について、ため息交じりに話した。木造平屋の建物は、天井が崩落して室内がむきだしの状態になっており、敷地内は野良猫が棲み着いているという。家屋は棟木が折れて落下したこともあった。

 大阪市には平成23年に住民から相談が寄せられ、市側は同区内に住む所有者に再三にわたって改善を指導したが、応じなかった。倒壊の危険性が増したため、市は今月中旬にも家屋を撤去する行政代執行に踏み切る予定だ。

 総務省の住宅・土地統計調査によると、大阪市内の空き家総数は全国の政令市の中で最多の約28万戸。住宅総数約163万戸の17・2%も占めている。市によると、こうした空き家には、生野区の家屋のように、倒壊して通行人を巻き込みかねない状態のものも多い。実際、市に寄せられる相談は21年度は53件だったが年々増加。25年度は175件で、今年度は先月時点ですでに170件に上っている。

 空き家の撤去が進まない要因は、住宅が建つ200平方メートル以下の土地なら、固定資産税の税率が6分の1に抑えられる優遇措置があるためだ。

 このため、政府・与党は倒壊などの危険性が高い空き家は措置の対象外とする方針を固め、27年度の税制改正大綱にも盛り込まれた。大阪市の担当者は「税の減免を受けたいがために空き家を放置していた所有者の撤去が進み、改善も見込めるのでは」と期待している。

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