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【日本人の座標軸(25)】
ヒトのDNA情報量は百科事典千冊分…「有り難い」の本当の意味を忘れるな

人はみな幸福になりたいと思っているが、なかなか幸せになれず思い悩むものだ。その源をたどる度に「有り難い」ということを忘れているからではないかと思う。「愚痴を言うな。不平不満を口にしていては、いつまでたっても幸せになれないよ」と、母が教えてくれたのを思い出す。
私たちは「ありがとうございます」と平素よく口にするのだが、「有り難い」の本当の意味が分からず使っているようだ。「今有る」ことがどんなに「難しい(大変な)こと」かを知らずに愚痴ばかり口にしていないか。
いくらお金を持っていても、「有り難い」ということの意味が分からぬ者に幸せは訪れまい。いつもそう思うのだが、素晴らしい一文に出会った。
《細胞1個の核に含まれている遺伝情報は32億個の科学の文字で書かれているが、その情報量は千ページの本にすると3200冊に相当する。それほど膨大な情報が、1グラムの2千億分の1でしかない細胞の核の中に書かれている。
書いたのは誰か。勿論、人間ではない。かといって自然にできあがったものでもない。それは「偉大なる何者か=サムスイング・グレイト」である。これを有り難いという以外に表現する言葉はない。
これをある学者がどれほど有り難いことか計算したところ、1億円の宝くじが百万回連続して当たるほど有り難いことだそうだ。そんな有り難い細胞60兆個で私たちの体はできているのだ。人は生きていること自体が有り難いことなのだ(筑波大学名誉教授、村上和雄氏)》