産経WEST

「県人寮」存廃の岐路に 「東京で学びたい」人材輩出するも、学生減や地元志向で入寮者減少

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新


「県人寮」存廃の岐路に 「東京で学びたい」人材輩出するも、学生減や地元志向で入寮者減少

東京都調布市にある和歌山の県人寮。少子化で入寮者も減っているという

 東京で勉学に励む各県出身者限定の学生寮「県人寮」が岐路に立たされている。戦後の高度経済成長期にこぞって建てられたが、築数十年と老朽化が進み、少子化による入寮者減も影響して、建て替え費用の確保に苦悩している。結局めどが立たずに廃寮した県も出る一方、福祉施設との共存で生き残ったケースも。郷土の伝統を何とか守ろうと、各寮で模索が続く。

 東京都調布市にある4階建ての施設が和歌山の県人寮「東京学生寮」だ。和歌山市出身の元外務大臣、野村吉三郎が故郷の学生のためにと設立を呼びかけ、昭和30年に建てられた。松下電器産業(現・パナソニック)を創業した同郷の松下幸之助らも資金面などで協力。これまでに1500人以上の人材を輩出している。

 公益財団法人が運営し、寮費は住み込みの料理人による朝夕の2食付きで月4万8500円と格安。和歌山市出身で明治大に通う福井将智さん(21)は「大学にも近く、安さでは一番。第二の故郷のような愛着もあります」と話す。

 別の学生(22)も「寮母さんからの『行ってらっしゃい』『お帰りなさい』の声に温かみを感じる」と居心地がよさそう。

 ただ、定員55人に対し現在の入寮者は36人。募集しても定員割れの状態が続く。施設の古さやトイレ、風呂が共同であることも学生離れの一因だが、最大の理由は「東京に出てくる学生自体が減った」と寮長の由良嘉輝さん(63)。

「産経WEST」のランキング