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【プレーバック大阪2014(7)】豊能の残土崩落 ほど遠い抜本的な対策

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【プレーバック大阪2014(7)】
豊能の残土崩落 ほど遠い抜本的な対策

崩落前の残土の山。急傾斜の状態に積まれている=今年1月、豊能町(住民提供)

 2月25日夜。豊能町で突然、土砂崩れが発生した。大雨や地震などの自然災害は起きておらず、最初は道路脇のがけが崩れた程度を想定していたが、投光器に照らされた惨状は全く違っていた。

 約2~4メートルに及ぶ高さの土砂が幅約200メートルにわたって完全に道路を覆い、土砂は周辺の田畑にまで広がっていた。自然災害ではなく、建設残土を過剰に積み上げていた山が丸ごと崩壊していた。

 発生した時間帯は午後7時45分ごろ。現場の府道には路線バスや乗用車が頻繁に往来していた。この残土崩壊で大惨事が起きなかったのは、不幸中の幸いだった。

 現場は、もともと高さ46メートルの小さな山にすぎなかったが、昨年春ごろから申請のない残土が次々搬入され、高さ70メートルまで積み上げられた。

  崩れる直前の斜面の角度は府の基準(30度)を大幅に上回る45度に達し、現場では昨年5~9月、3回も小規模の土砂崩れが発生していた。

 撤去を要請する署名活動を始めていた自治会の役員は「いつかこうなると思っていた」と崩落事故を悔やんだ。一方、現場近くを走る路線バス運転手は「道路からは残土の山が反り上がってみえた。通るのが怖かった」と証言する。

 業者を監督していた府池田土木事務所は、それまでも搬入中止を求める勧告を2回、文書指導を9回、さらに口頭指導を80回以上実施していた。担当者は「こちらの指示に対し、半分守って、半分守らない、ということが延々続いた」と振り返る。

 府は違反者への許可取り消しや中止命令を出す権限がありながら、実際には行使せず、対応にも問題があったとして3月、対応マニュアルを新たに作成した。

 一方、この残土崩落をきっかけに、高層ビル建設などの開発で生じた残土の流通経路が満足に把握されていない現状も浮き彫りとなった。

 業者には残土の発生元や量についての報告義務が一切なく、ずさんな管理をしていた疑いが浮上。府は発生元などの報告に加え、土地の所有者にも施工状況の確認を義務づける新たな条例案を12月、府議会に提出し、可決された。

 対策に一定の改善はみられたが、町内には依然、残土を積んだ多数のダンプカーが行き交い、交通事故の恐れや洗濯物を汚す砂ぼこりの弊害を訴える住民も後を絶たない。

 抜本的な対策にはほど遠く、町の幹部は「残土は都市から郊外への一方通行というのが現状。対策については、発生元の自治体も役割を果たしてほしい」と切実に訴える。

 ■豊能の残土崩落事故の判決 豊能の残土崩落事故は、大阪地裁が11月、無許可で残土を積み上げたとして、府砂防指定地管理条例違反などの罪で大阪市内の建設会社の元実質経営者に懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役4年6月)、法人としての同社に罰金2万円を言い渡した。これとは別に、府は府道の復旧に要した約10億円を元実質経営者らに負担させるため、同社側と交渉を続けている。

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