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【累犯障害者 塀の中の福祉(2)】思うようにならない〝ウルトラマンポーズ〟…体動かし「不器用」克服し再犯防止 認知作業トレーニング

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【累犯障害者 塀の中の福祉(2)】
思うようにならない〝ウルトラマンポーズ〟…体動かし「不器用」克服し再犯防止 認知作業トレーニング

 緑の刑務服を着た30~40人の男性たちが作業台に向かい、布団用の大型洗濯ばさみを黙々と組み立てていた。腰を浮かせて上体をかがませたり、腕を力ませて不自然に交差させたりしている姿もみられる。

 民間が運営に参加するPFI刑務所、播磨社会復帰促進センター(兵庫県加古川市)の「特化ユニット」。知的障害のある受刑者は、単純な刑務作業でもスムーズにこなせないことが多い。

 作業療法士で、精神科病棟での勤務経験がある民間スタッフの男性(38)は、このことが気になっていた。「不器用なまま社会に復帰して、本当に仕事ができるのか。適応できずに犯罪を繰り返してしまうのではないか」

 身体をうまく使うには、動かし方や力加減を覚え、どう動かすかを判断することが必要だ。スポーツと同じで、無意識にできる人もいれば、いくら教わってもできない人もいる。

 障害が犯罪の原因では決してない。が、不器用さが周囲の理解を妨げ、再犯を誘発する恐れはある。男性は国側の了承を得て、身体感覚を改善させる教育プログラム「認知作業トレーニング」を導入した。

ほめて伸ばす

 「あきらめないで」「ナーイス!」。刑務所内の体育館に、民間スタッフの明るい声が響く。

 先生役は、導入した作業療法士の男性。ウルトラマンのように、胸の前で腕をL字に構えている。受刑者8人はポーズをまねるよう指示されるが、左右の手が逆だったり傾いたりと、思い通りの形にならない。

 背中合わせで床に座った3~5人が、押しくらまんじゅうの要領で立ち上がる練習もある。リンゴの皮むきのように、新聞紙をどれだけ細長くちぎれるかという競争もある。90分間の授業中、先生役を補佐する臨床心理士の男性(30)が笑顔で、こまめに話しかけていた。

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