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【出雲学談義(2)】
日本の代表的神話は「出雲」発なのに、平凡な遺跡が謎を呼ぶ
ヨーロッパ人が日本人に対して、「われわれヨーロッパには、ギリシャ神話、ローマ神話などたくさんの神話があります。日本にも神話がありますか」と尋ねたら、おそらく日本人は憤然たる面持ちで、こう答えるだろう。「もちろんありますよ。日本はヨーロッパに劣らぬほど、長い歴史をもった国ですから」
すると、ヨーロッパ人は「そうですか。それなら代表的な日本神話を、一つ二つ挙げてみてください」と言うだろう。これを聞いた日本人は、すかさず「そうですね。まず国引き神話、次に黄泉(よみ)の国神話。それからヤマタノオロチ退治、因幡のシロウサギ、国譲り神話などがありますね」とこたえるだろう。
これらは、まさに日本神話を代表するポピュラーな神話である。よく見ると、すべて出雲神話ではないか。出雲神話の条件は、まず、主役の神が国つ神であること、舞台が出雲であること、このいずれかを満たしていればいい。国つ神とは高天原(たかまがはら)の天つ神に対し、地上の葦原中国(あしはらのなかつくに)にいる神々である。葦原中国の中心は出雲と考えられる。
具体的にいうと、ヤツカミズオミツヌノ命、オオクニヌシノ神、コトシロヌシノ神、クシナダヒメノ命などが国つ神である。もう一つ、演じる舞台が出雲ならば、たとえ天つ神が主役でも、出雲神話ということができるだろう。例えば、黄泉の国の神話。火の神を生んで亡くなったイザナミノ命は、出雲の黄泉比良坂(よもつひらさか)から黄泉の国へ去っていった。夫神のイザナギノ命も黄泉比良坂から彼女の後を追って黄泉の国へ。話はこの黄泉の穴をめぐって展開する。
