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【関西の議論】「死に損ないのブタ」「盗っ人」…凄まじき職場のモラハラの実態 女性に下された賠償命令

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【関西の議論】
「死に損ないのブタ」「盗っ人」…凄まじき職場のモラハラの実態 女性に下された賠償命令

言葉や態度による精神的暴力は「モラル・ハラスメント(モラハラ)」と呼ばれる。被害に遭って悩んでいる人は少なくないが、セクハラやパワハラと違って認知度は低く、企業側も問題視する姿勢があまりみられないのが現状という

 同年9月、原告が事務所に姿を見せると、女性は「お前、また言いがかりつける気か」と叫び、ごみ箱を蹴り飛ばした。原告が近くにあったかばんを持って応戦すると、女性は物差しとボールペンを持って原告の頭を殴り続けたという。

 ところが、女性は自ら警察を呼んだ。原告の応戦を「暴力」と訴えたかったのか、病院で打撲の診断まで得た。さらに女性は翌10月、代理人弁護士を通じ、原告に慰謝料150万円を要求してきた。

 原告は翌年初め、女性に約220万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。これに対し、女性もほぼ同額の損害賠償を求める反訴に打って出た。

企業側の問題意識薄く

 地裁は、原告側のICレコーダーやビデオカメラによる録音・録画のほか、「原告が押し倒されたり殴られるのを見た」とする同僚男性の証言を重視。さらに、原告が携帯電話にメモしていた記録のほとんども信用性を認め、今年11月の判決で女性に165万円の支払いを命じた。

 一方、判決は女性側の反訴についても検討したが、女性が原告側の負傷原因を「分からない」としか証言しないことなどが、「不自然でたやすく信用できない」と指摘。このほか、女性が原告から「暴行を受けた」として病院に行った際の診断書も「(女性の)訴えを記載したものに過ぎない」とし、女性側の主張を全面的に退けた。

 職場の同僚間のモラハラは、今回のように極端なケースであれば、司法の場で解決することもできる。ただ、モラハラの大半は言葉によるいじめで表面化しにくい。セクハラやパワハラのように社会問題化するまでには至っておらず、企業側も見過ごしてきたのが実情かもしれない。

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