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【関西街角文化論】永井良和(71)まちと展示(3)ふだんの姿を見せる「町ぐるみ博物館」

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【関西街角文化論】
永井良和(71)まちと展示(3)ふだんの姿を見せる「町ぐるみ博物館」

「平野・町ぐるみ博物館」のひとつ、「小さな駄菓子屋さん博物館」。昭和20~30年代の駄菓子屋に並んでいたおもちゃが所狭しと展示されていた=平成17年12月、大阪市平野区

 大きな建築物をつくることによって社会が潤うという幻想。潤う人もいるのだろうが、恩恵にあずかる範囲はかぎられる。

 立派な博物館や美術館、劇場ができても、収蔵品がとぼしかったり、公演がつづけられなかったりすると、客は来ない。採算度外視というわけにはいかず、税金の投入も許されない。やがて、施設は閉鎖される。

 バブル経済崩壊後、このような悪循環があらわになった。しかしながら、同じ時期に、着実な活動をつづけてきた地域もある。

 たとえば大阪市平野区の「平野・町ぐるみ博物館」。かつて平野郷と呼ばれた地域には、古くからの街なみやつきあいを大切に暮らす人びとがいる。住民の手もとに残ったものや、集められたものを、商店や住宅で見学できるようにして、ミニ博物館をひらく。訪問した人たちと、まちの人たちとが言葉をかわすことで地域のよさが再確認される。

 駄菓子や新聞、刀、だんじりのほか、音や幽霊などユニークなテーマをかかげるところもある。これらミニ博物館の集合が、「町ぐるみ博物館」と名づけられた。1993年にスタートし、もう20年以上が過ぎる。閉館したところもあるが、いまも地域内のあちらこちらで手づくりの施設が運営される。無理をせず、活動を長くつづけることが重視されているようだ。

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