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【関西の議論】「忍び」の真髄は諜報にあり “最後の忍者”甲賀流伴党21代目宗家に課せられた使命とは

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【関西の議論】
「忍び」の真髄は諜報にあり “最後の忍者”甲賀流伴党21代目宗家に課せられた使命とは

血を流さずに争いに勝つ

 川上さんが引き継いだ忍術は、尾張藩(愛知県西部)に士官していた甲賀流忍者の家系、伴家が幕末に組織された「甲賀勤皇隊」に加わり、このときに他の家系に伝わっていた忍術も含めて「甲賀忍之伝」として体系化したものという。幸田さんは川上さんが忍術を受け継いだことを「非常にまれなケース」と評価しており、伝統的な忍術を体得した現代人としては最後の存在としている。

 しかし、川上さんは22代目への伝承を予定していない。「現代社会で、夜中に忍び込んで火を付けて人を陥れるような訓練を幼いころからする必要はない。他にもっと人生に役立つことがある」と考えるからだ。

 ただ、現代に通じる要素もある。忍者は盗賊と紙一重。その違いを分けるのは、私利私欲ではなく他人のために行う「正心」があるかないかだった。その一線を守りながら事前に情報を取り、謀略を巡らせて血を流さずに争いに勝つという忍術的な戦略は、今でも活用できそうだ。

 川上さんは「忍術的な思考はさまざまな局面で生かせる。こうした忍者の精神性こそ大事」という。忍者の実像を通して日本人の精神を海外に伝え、日本の魅力を発信しようと海外での講演も精力的にこなしている。“最後の忍者”は新たな使命のために文字通り、飛び回っている。

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