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【関西の議論】紙をつなげ! 東日本大震災で壊滅した製紙工場復活の裏に阪神大震災経験者の献身

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【関西の議論】
紙をつなげ! 東日本大震災で壊滅した製紙工場復活の裏に阪神大震災経験者の献身

佐々涼子さん著「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている」

 「紙がない。雑誌が発行できない」-。東日本大震災で、日本の出版用紙の約4割を担う日本製紙の基幹工場が壊滅し、出版界に衝撃が走った。紙の供給が滞り、当時234の雑誌が発売を延期、16誌が中止に。社員らが工場を半年で復旧し、出版界の危機を救った。そんな震災復興の物語を、「エンジェルフライト国際霊柩送還士」で開高健ノンフィクション賞を受賞したフリーライター、佐々涼子さんが新たなテーマに選んだ。新作「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている」(早川書房)は、紙の出版文化を深く考えさせられる大作だ。(横山由紀子)

「少年ジャンプ」「TIME」…雑誌が発行できない!

 東日本大震災後、出版業界は大きく揺らいだ。本や雑誌など日本の出版用紙の約4割を供給する日本製紙。その屋台骨を支える石巻工場(宮城県石巻市)が、巨大な津波に飲みこまれ、機能が完全にストップしたのだ。

 当時、出版業界では、「雑誌が発行できない」と大騒ぎに。「週刊少年ジャンプ」など234の雑誌が発売を延期、16誌が中止になった。また、海外にも多くの用紙を供給しており、米国の雑誌「TIME」も石巻生まれだった。

 横浜市在住の佐々さんは、「その騒動で初めて、本や雑誌の紙が東北で作られていることを知りました。出版に携わる者として恥ずかしかった」と明かす。そして、東日本大震災から2年後、石巻に取材に入り、工場復旧の道のりを1年かけてつぶさに追った。

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