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【ノーベル物理学賞】会社員の研究成果はだれのもの…問題提起した中村氏

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【ノーベル物理学賞】
会社員の研究成果はだれのもの…問題提起した中村氏

中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(奈須稔撮影)

 ノーベル物理学賞を受賞したカリフォルニア大の中村修二教授は、企業内研究者の成果は社員、企業のどちらに属するのか、という問題をクローズアップしたことでも知られる。中村氏は当時所属していた企業からの報酬の低さから、海外の科学者から冗談交じりに「スレーブ(奴隷)ナカムラ」とさえいわれたという。

 日亜化学工業に在籍中に青色発光ダイオードの実用化に成功した中村氏は退職後の平成13年、成果に対する正当な報酬を求めて同社を提訴。最終的には同社が8億4千万円を支払うことで和解した。

 これを機に、日本中の企業内研究者が目覚め、所属企業を訴えるケースが増加。日立製作所は18年、光ディスクの技術をめぐる訴訟で発明者に1億6千万円を支払ったほか、味の素も人工甘味料をめぐる訴訟の和解で1億5千万円を支払うなど「開発者の権利が見直された」(知財専門家)。

 一方、経営者の間では、開発者から高額な対価を求められると企業の重荷になるとの懸念も強くなった。これを受け政府は昨年6月、「知的財産政策に関する基本方針」を閣議決定し、企業の社員が発明した「職務発明」について、特許権の帰属を社員側から企業に移すことなどを検討する方針を盛り込んだ。来年の通常国会に特許法改正案を提出するとみられている。

 ただ、企業の「取り分」が増えると開発者の意欲が失せ、画期的な成果が生まれにくくなるとの懸念もある。特許権など知的財産問題の専門家は「社員は開発が成功しなくても企業から給料を得ている以上、過度な権利主張には違和感があるが、当時の発明者の境遇が悪い中小企業も多く、画期的な問題提起にはつながった」と話している。

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