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【関西の議論】「かの山」「かの川」とはどこか、「♪兎追いし」が日本人の心に響く理由と謎…誕生100年・唱歌「ふるさと」制作秘話

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【関西の議論】
「かの山」「かの川」とはどこか、「♪兎追いし」が日本人の心に響く理由と謎…誕生100年・唱歌「ふるさと」制作秘話

高野辰之の故郷、長野県中野市から望む熊坂山。「ふるさと」の原風景と言われている

 ちなみに岡野が作曲したとされる作品には「春が来た」や「朧月夜」などもある。地元、鳥取市の「わらべ館」では10月14日まで企画展「唱歌『ふるさと』100年の歩み」を開いている。

長年、作詞者・作曲者不明だった理由

 日本人の叙情に訴える歌詞と、親しみやすいメロディー。実はこの2つ以外に、この歌を全日本人に普遍的な存在とさせた要因がある。

 歌詞にある「かの山」や「かの川」はどこの風景か特定されない表現になっている。しかも、今でこそ明らかになっている作詞者、作曲者が、長らく不詳だったことも、風景を特定させなかった。つまり、歌う人それぞれが自分の故郷を思い浮かべ、感情移入することができた、というわけだ。

 「もともと唱歌は、西洋音楽を日本に移入、消化するために学校教育のために作られた歌で、編纂は文部省主導で当時のそうそうたる作詞家、作曲家によって行われました」と岩井名誉教授は解説する。「合議制とされたため、長く実際の作詞者と作曲者が特定されていなかったのです」

 遺族らの証言から昭和40年代には日本音楽著作権協会は高野と岡野の作と認め、平成4年の音楽の教科書からは2人の名前が作詞家、作曲家として明記されるようになった。

 当然、作者である高野と岡野には、歌詞やメロディーを作る上でモデルとなった「原風景」というのがあったはずである。

 高野の故郷、長野県中野市(旧豊田村)では「かの山」とされる熊坂山や大平山といった里山が望め、また、班川(はんがわ)という「かの川」も流れる。

 一方、作曲家の岡野の出身地鳥取県にも霊峰・大山があり、鳥取市内には江戸時代から明治時代にかけてコイやフナ、シジミが採れたという袋川が流れていた。

 中野市にある高野辰之記念館の担当者は「兎追いは当地で伝統的に行われていた狩猟の一つですし、ふるさとの詞には高野の故郷の風景が歌われていると思います」と話す。

世界のオザワも歌う

 今夏、高野の出身地、長野県では「ふるさと」100年に合わせてビデオを制作した。

 ビデオは長野県松本市で開かれた音楽祭「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」のコンサートの様子を大型スクリーンで全国各地で見られるように中継したスクリーンコンサートの前に流された。

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