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【衝撃事件の核心】忽然と消えた「2900人」の子供たち…誰も知らない行方、放置は「死」を招く

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【衝撃事件の核心】
忽然と消えた「2900人」の子供たち…誰も知らない行方、放置は「死」を招く

 杏奈ちゃんの所在を調べる重要な手がかりだったが、市内部で情報は共有されず、対策は取られないまま、杏奈ちゃんは命を落とした。

 苦い記憶。事件以降、市は居所不明の子供の問題に積極的に取り組んでいるが、冒頭のような事例はまだ残っている。

 市の担当者は「杏奈ちゃんの事件を重く受け止め、居所不明の児童がいればできる限り追跡している。だが、手がかりが途切れてしまうと、それから先には進めなくなってしまう」。

居所不明、大阪が発端

 居所不明の子供がクローズアップされたのは、大阪がきっかけだった。

 24年4月、大阪府富田林市で、住民登録上は9歳のはずの男児が生後まもなくから行方不明になっていたことが発覚。14年9月生まれの男児は、実際は1歳になる前に死亡しており、祖母らによって15年2月、同市内の河川敷に埋められていた。

 この事件により、男児と同じような居所不明の子供が全国に1千人以上いることが取り上げられ、社会問題化した。

 これ以前から、文部科学省では学校基本調査で、居所不明の小学生や中学生を集計していた。ただ、同調査は「学校教育行政に必要な学校に関する基本的事項を明らかにすることを目的」としており、主な調査項目は「学校数、在学者数、教員数、卒業者数、進学者数、就職者数」など。居所不明児童・生徒に重きは置かれていなかった。

 それが、富田林の事件により転換した。事件に巻き込まれた子供がいたことに国は危機感を強め、富田林の事件が発覚してから半年後の24年11月、学校や警察などの関係機関と連携して行方が分からなくなっている子供の実態を把握するよう、厚生労働省が市町村に通知した。

 だが、その後も、25年2月に大阪市東住吉区で住民登録上は6歳の女児が実際は出産直後に殺害されていたことが分かり母親が逮捕されるなど、悲惨なニュースが報じられた。このため同省は今年4月、乳幼児を含めた18歳未満にまで対象を拡大し、居所不明児童・生徒の数を報告するよう市町村に要請。その結果、冒頭の2900人という数字が浮かび上がったという。

 ただ、文科省の学校基本調査では、小中学生に調査対象が限られているものの平成23年度の1191人が26年度に397人となるなど、3年連続で減少している。

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