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【香川伸行さん急死】「ドカベン」との出会い、最後まで宝物

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【香川伸行さん急死】
「ドカベン」との出会い、最後まで宝物

大阪大会決勝でPL学園を倒し、夏の甲子園出場を決めた浪商の香川伸行捕手(左)とエースの牛島和彦投手=昭和54年7月31日

 120センチを超す腰回り。おなかの下あたりのユニホームのベルトをたくしあげながらやっくりと打席に入る。バットをひと振りし、球が軽々と外野席に飛び込んでいくのを見届けると、巨体を揺すりながら悠然とダイヤモンドを一周した。ユーモラスな姿にファンはいつも大喜び。

 「ええぞ、ドカベン」

 子供から大人まで、ファンはみんな漫画から抜け出してきたような愛すべきヒーロー、香川さんが大好きだった。

 「自分が選手だった同じ時期に漫画の『ドカベン』が登場したのは運命だったと思う。野球があり『ドカベン』との出会いがあったから、今の自分があるんです」

 だから好きな言葉も「出会い」。高校時代、牛島(和彦=中日、ロッテ)とバッテリーを組んだのも「大切な出会いのひとつやった」。

 高校時代、どんなピンチでも動じることなくどっしりとミットを構える香川さんの姿を見て、投げる牛島さんは落ち着きを取り戻し、ピンチを切り抜けたという。

 引退して博多に移った香川さんを2009年春に訪れた。人なつっこい笑顔も巨体も現役時代のまま。「個性は宝物。この体形でプロ野球で通用した僕が言うんやから間違いありません。野球教室で一芸に秀でた選手を育てるのが夢です」。あれほど元気な声で話してくれたのに。そのときもらった似顔絵入りの名刺には真ん中に「ドカベン 香川伸行」とだけ。水島新司さん直筆の懐かしい南海のグリーンのユニホームを着た香川さんの似顔絵を見ていると、涙があふれてきた。(出崎敦史)

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