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【関西の議論】「若年層ホームレス」という新現象、「ビッグイシュー」10年目に見えた現実…労働経験少なく「立ちっ放し販売」続かない

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【関西の議論】
「若年層ホームレス」という新現象、「ビッグイシュー」10年目に見えた現実…労働経験少なく「立ちっ放し販売」続かない

炎天下、販売を続ける吉田茂さん。売れる日と売れない日の波があるのが悩みという=兵庫県尼崎市の阪急塚口駅南口

 雑誌販売をホームレスに任せて自立を支援する「ビッグイシュー日本」(大阪市北区)が新たな問題に直面している。平成15年に創刊した当初は中高年がほとんどだったホームレスの様相が変容し、20年のリーマンショック前後から、30代以下の若者が増えているのだ。こうした若者たちは毎日立ち続ける雑誌販売の仕事を続けられないことが多く、若者を支援する他の市民グループとの連携が不可欠となっている。(加納裕子)

屋根のある家に住みたいけど…

 「ビッグイシューが好きで続けている。若い人が買ってくれるとうれしい」

 奈良県出身の入島輝夫さん(51)は、30代で親元を離れ、建築関係の仕事に就いていたが、そこでの人間関係に疲れてホームレスに。2年ほど神戸市内で段ボールや空き缶を集める仕事をしていたが、将来に不安を感じて22年11月からビッグイシューの販売員になった。

 毎日午前10時から午後9時までJR高槻駅近くで販売を続けるが、食費や販売場所までの交通費、雑誌の仕入れなどを除くと、たまにネットカフェに宿泊するのがやっと。住居を構えるようになるのは容易ではないが、いつか悩める大人が集う「大人の駄菓子店」を開きたいとの夢を描く。

 阪急塚口駅南口で販売する大阪府出身の吉田茂さん(53)は以前、仕事で右手に大けがをして生活保護を受給していた。保護を自ら絶ってホームレスになり、今年4月からビッグイシュー販売員に。現在は販売員仲間2~3人と野外で寝泊まりする。

 「これで良かったと思う。屋根のある家に住みたいとは思うが、今は仲間もいるから楽しい」と日焼けした顔をほころばせた。

 販売員の多くは中高年だが、比較的若い人もいる。そのうちの1人、40代前半の男性は勤務していた会社の合併に伴う人員整理で解雇され、家を失った。昨年秋から販売の仕事を始めて約1年、最近アパートを借りることができたという。

 「天気が悪いと仕事ができないのが悩み。今はとにかく、ビッグイシューの販売者として頑張りたい」

販売員希望者の半数が30代以下 リーマンショック前年の異変

 雑誌「ビッグイシュー日本版」は15年9月に大阪で創刊。毎月1日と15日に発売し、販売をホームレスに独占させて仕事を提供する。最初の10冊は販売員に無料で提供、この売上金をもとに1冊170円で仕入れてもらう。定価350円で、1冊売れるごとに180円が収入となり、アパートを借りて自立を目指すための資金にできる。

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