産経WEST

【衝撃事件の核心】妻認知症、長男引きこもり、自らは鬱病の82歳男性が見た“この世の地獄”…泣いて「お父さんとお母さんを助けてくれ」にも無言の長男、無理心中を決意した

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【衝撃事件の核心】
妻認知症、長男引きこもり、自らは鬱病の82歳男性が見た“この世の地獄”…泣いて「お父さんとお母さんを助けてくれ」にも無言の長男、無理心中を決意した

81歳の夫は、認知症を患った73歳の妻の首を絞めた。40代の息子は鬱病で引きこもったまま。自身も心労から鬱病を発症したことで行く末を悲観した結果だった。孤立を防ぐ“救いの手”はなかったのか。殺人罪に問われた夫に対し、裁判所は執行猶予付きの有罪判決を言い渡した

 《妻認知症で疲れた。息子鬱病との二重苦だ》

 事件後、自宅から見つかったメモには悲痛な心の叫びが書き残されていた。大阪府枚方市で3月、無職男性(82)が認知症の妻=当時(73)=を電気コードで絞殺し、自身も自殺を図ろうとする痛ましい事件が起きた。殺人罪に問われた男性は、次第に記憶を失っていく妻と、10年以上引きこもる鬱病の40代長男の世話を一人で抱え込み、自身も鬱病を発症した結果、「心中するしかない」と思い詰めたという。大阪地裁は6月、男性に執行猶予付きの有罪判決を言い渡したが、悲劇はなぜ防げなかったのか。

「3歳児」になった妻

 男性と妻は昭和39年に結婚。いつも一緒にいる仲むつまじい夫婦だった。唯一の悩みは同居する鬱病の長男だったが、たまに夫婦で旅行に出かけるのをささやかな楽しみにしていた。そんな老後の暮らしに異変が訪れたのは今年の正月のことだ。

 1月5日早朝、妻が突然激しい頭痛を訴え始めた。すぐに病院に連れて行ったが、CT検査の結果は「異常なし」。処方薬を飲ませて経過をみることになったものの、症状はどんどんひどくなった。

 昼夜を問わず何度も両手でこめかみを押さえ、「痛い、痛い」と繰り返す。腕時計をしているのに時間が分からなくなり、炊飯器の使い方も忘れてしまう。3月13日、男性は再び妻と脳神経外科を受診。告げられた病名は認知症だった。男性は医師から「もう治りません。奥さんを3歳児だと思って接してあげてください」と言われたという。

 男性はその日から、日常生活がままならなくなった妻と、部屋に引きこもる長男の世話に追われた。昼は近くの診療所まで妻をリハビリに連れて行き、帰宅後は妻と長男のため風呂や食事の支度をした。

 間もなく80代の体と心は悲鳴を上げた。夜になっても眠れず、手の震えが止まらない。鬱病の症状だった。

引きこもり長男は精神障害2級…高齢者3割近くが認知症時代の悲劇

「産経WEST」のランキング