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【虐待越えて タエコは訴える(1)鬼父】父に殺されかけて知った「暴力への罪悪感が次の虐待を生む」 断ち切るには謝れ、「好き」だと言え

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【虐待越えて タエコは訴える(1)鬼父】
父に殺されかけて知った「暴力への罪悪感が次の虐待を生む」 断ち切るには謝れ、「好き」だと言え

 当初は、壮絶な試練を乗り越えてきた妙子に共感しながらも、「虐待する親は絶対許せない。それを助けるなんてどういうことだ」と怒りをぶつける聴衆も少なくなかった。そんな声には、ていねいに自分の考えを説明し、理解を得る努力を続けた。

 《虐待は中学2年で終わった。しかし、その後の妙子の人生も平坦ではなかった。父親の自殺、障害のある長男の子育て、認知症の義父の介護…。人生の荒波が次々押し寄せた。虐待廃絶の活動を始めたのは平成23年。ともに人生を歩む“戦友”のような次兄の死がきっかけだった。それまでだれにも話さなかった「虐待の封印」を解いて、半生を振り返る自伝を執筆。同時に兄の遺言として講演を始めた。その人生と虐待廃絶への強い思いは、マスコミや講演を聞いた人たちの口コミで反響が広がり、昨年4月には兵庫県児童虐待等対応専門アドバイザーにも就任した》

 「講演内容は最初のころと違ってきたんですよ」

 当初は自らの被虐待体験がほぼすべてだったが、今は全体の3分の1ほど。あとは、自らの子育てやいじめ、若者気質など現代社会の課題に費やす。

 「命の奇跡」「愛と信頼」「幸せのレベル」など、波瀾万丈の人生でたどりついた“真実”に特別斬新さはないが、実体験を交えた説得力のある話しぶりや、伝えたい思いにあふれた熱のこもった口調と相まって聴衆の心をグイグイつかむ。

 虐待をしてしまう大人を妙子はいつしか「虐待さん」と呼ぶようになった。軽い呼び方とも思うが、そこに妙子の愛と決意がにじむ。

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