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世界遺産の価値>利便性 若草山の登山用モノレール構想白紙 奈良県が代替案検討へ

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世界遺産の価値>利便性 若草山の登山用モノレール構想白紙 奈良県が代替案検討へ

 世界遺産の春日山原始林に隣接する若草山(奈良市)で構想されている登山用モノレールの建設について、奈良県が構想を白紙に戻し、7月にも開く検討委員会で代替案の審議を始めることが分かった。計画をめぐり、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)の国内組織が「世界遺産の価値を損なう」と懸念を表明していた。県は「若草山の活性化に向け、あらゆる可能性を検討したい」としている。

 若草山は奈良公園内にあり、山焼きの伝統行事で知られる名所。だが、山麓から中腹の「一重目(いちじゅうめ)」までは急な石段の登山道を登らなければならない。

 県の構想では、春日山原始林との境界付近を通る登山道沿いに約550メートルのレールを敷設。ふもとから一重目までを結んでモノレール(2両編成、12人乗り)を走らせ、高齢者など幅広い層の集客を狙う。

 背景には、入山者が30年前のピーク時から約4分の1にまで減るなど、観光客減少への危機感がある。かつてケーブルカーやエスカレーターを通す構想もあったが、いずれも頓挫した。

 県は平成22年、若草山を含む奈良公園全体の活性化を図ろうと、学識経験者らでつくる検討委員会を設置。その後、県がモノレール建設構想をまとめ、25年9月に県議会予算委員会に構想案を提出した。

 これが大きな波紋を呼んだ。「本当に必要か疑問」「世界遺産や文化財の保護という観点をクリアにすべきだ」といった意見が上がり、地元の市民団体などによる反対運動が起こった。イコモスの国内組織も「世界遺産指定地区の保護を軽視している」と厳しく指摘した。

 荒井正吾知事は「検討委員会で客観的に検討し、慎重に結論を出していただくのがいい」とトーンダウン。県は次回の検討委員会で、モノレールに代わる活性化の代替案を議論することにした。

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