記事詳細
【関西の議論】
パンチラ・ビキニ姿“萌え美少女”電車が堂々と街を走る…アニメ「中二病」キャラ大展開した「京阪電鉄」の挑戦と滋賀の〝寛容〟

石坂線のラッピング電車は、今年度予定分も含め、18年間で155件にのぼる。特に22年ごろからは年間で20件前後のラッピング電車を企画。同鉄道部の担当者は「今では、15編成のうち半分以上がラッピング電車。他の鉄道会社と比べても多いのではないでしょうか。沿線のみなさんも『また新しいのが走った』と、当たり前に受け止めていただいています」と話す。
大津の寛容さに支えられて
京阪によると、京都市内や大阪府下を走る本線をはじめ、他の路線でもラッピング電車を運行しているが、ここまで“連発”できるのは石坂線だからこそ。その理由は、石坂線は2両編成のため、ラッピング材を用意するのが少なくて済むこと。さらに大津の寛容さがあげられる。お隣の京都は景観規制が厳しく、京都市内を走る路線では派手なラッピングはタブーだが、大津はそれほど厳しくない。
加えて、滋賀県が18年度から全日制普通科高校の通学区域をなくしたことで、沿線に高校の多い石坂線は通学客が増加傾向。マンションも増えており、鉄道が地元の足として確立している。このため安定した経営基盤に支えられ、遊び心を楽しむ余裕もあるのだという。
「けいおん!」にあった拒否感が…
こうした背景もあり、大津の街にすっかりなじんだラッピング電車。これまで地元だけでなく県外からも大きな反響があったのは、「中二病」と同じく滋賀県が舞台となった人気アニメ「けいおん!」のラッピング電車だった。
23年8月に走り始めたところ、発着駅の浜大津駅近くには一眼レフカメラを持ったファンとおぼしき男性らがずらり。イラスト入りの特製乗車券を限定で7千枚販売すれば、初日にファンが約500メートルも列をつくった。
ただ実は(というべきか、やはり、というべきか)、ラッピングに対する苦情もあった。「けいおん!」は「中二病」に比べてソフトなデザインだったが、まだ沿線に“免疫”がなかったせいか、「落ちつかへん」「乗っていられない」といった意見が繰り返し寄せられた。「中二病」も刺激的であるがゆえ、賛否はあるようだ。