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【戸津井康之の銀幕裏の声】現役パイロットは「宮部久蔵」をどう見たか…「生還は義務だ」、語り継ぐ『永遠の0』

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【戸津井康之の銀幕裏の声】
現役パイロットは「宮部久蔵」をどう見たか…「生還は義務だ」、語り継ぐ『永遠の0』

 菊地さんは元ゼロ戦操縦士の笠井さんにこんな質問を投げかけた。

 「今の戦闘機パイロットは耐G(加速度)スーツを装着していますが、当時のゼロ戦パイロットは、Gにどう対処していたのですか?」

 急上昇や急降下、急旋回により、戦闘機パイロットの身体には体重の8、9倍ものGがかかるため、現在のパイロットは耐Gスーツを着用し、脳への血流障害を防いでいる。

 笠井さんは「もちろん当時はGスーツなどありません。Gに耐えきれず操縦中に気を失うパイロットは少なくありませんでした」と答えた。

 さらに、菊地さんは「操縦席が密閉されたジェット戦闘機と違い、外気が入ってくるゼロ戦での高高度の飛行はどんな過酷な状況だったのですか?」と質問。 笠井さんは「飛行帽のみ冬用で、それ以外の装備はすべて夏用でした。高高度を飛行したときは、寒くて身体が震え、着陸後もずっと震えが止まりませんでしたよ」と明かした。

生きることが国への義務を果たすことに

 最後まで特攻を受け入れようとしなかった宮部を、現代の戦闘機パイロットとして、菊地さんはどう見たのか?

 「結果として非合理的だった特攻を宮部が拒んだのは、軍事的合理性からも正しいわけで、その考え方は現代のパイロットから見ても全く矛盾しません。生きて戦い続けることは、国への義務を果たすことであり、ひいては家族を守ることになるのではないでしょうか」

 戦闘機パイロットの命の危険性は、ゼロ戦からジェット戦闘機に進化した今も変わっていない。菊地さんの同僚も、スクランブル中の事故などで殉職している。

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