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【アール・ブリュット 滋賀から世界へ(1)】突き刺す“トゲ”の造形、あふれる原初の力 沢田真一氏(31)=滋賀県草津市

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【アール・ブリュット 滋賀から世界へ(1)】
突き刺す“トゲ”の造形、あふれる原初の力 沢田真一氏(31)=滋賀県草津市

グロテスクさとかわいさ、混在する魅力

 沢田作品は、海外では日本のアール・ブリュットを代表する作品として認知されている。埴輪(はにわ)や土偶に似た陶芸である点が、日本文化を感じさせ、評価されているのだろう。

 作品はモンスターのようで、グロテスクなのにどこかかわいい。古くからある原始的なもののようで、それでいて新しい。こうした両義的な価値がひとつの作品に混在している点が、見る者の心を捉える。芸術は多様な価値をひとつの作品で表現すべきだとされるが、それを実際に表すのは難しい。しかし、沢田は非常にシンプルな表現方法で、自然体でそれを実現している。

=東京国立近代美術館 保坂健二朗・主任研究員(現代美術)

 【用語解説】アール・ブリュット

 フランス語でart(芸術)とbrut(生の)を組み合わせた言葉で「生(き)のままの芸術」と訳される。画家のデュビュッフェが1940年代後半に提示。正規の美術教育・伝統に沿わず、感性のままにつくられた作品を指す。その性格上、子供や障害者の作品が目立つが、健常者のそれも少なくない。滋賀県でも戦後からそうした作品はあったが、障害者への職業指導などの結果という、芸術というよりはむしろ福祉の色合いが強いものだった。近年、日本の作品が欧州で評価されたことをきっかけに、国内でもアール・ブリュットに関するさまざまな活動が生まれ始めている。

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