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【アール・ブリュット 滋賀から世界へ(1)】突き刺す“トゲ”の造形、あふれる原初の力 沢田真一氏(31)=滋賀県草津市

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【アール・ブリュット 滋賀から世界へ(1)】
突き刺す“トゲ”の造形、あふれる原初の力 沢田真一氏(31)=滋賀県草津市

 欧州の美術専門家はいま、「サワダ」と聞くだけでこのトゲだらけの作品を思い浮かべるという。縄文の土器、土偶も想起させるその原初の力にあふれた作品が、世界の人々の心をつかんでいる。-が、沢田自身にとっては、あまり興味がわかない話のようだ。

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 沢田の工房にはいま、マスコミや海外の美術関係者など、たくさんの人が訪れる。そのせいか、しゃべることはもちろん、コミュニケーションそのものが苦手の沢田にも変化があった。作業所に通う道で、職員とすれ違うと、あいさつをするように大きく手を挙げる。訪問者との記念撮影に応じることもある。表情もずっと豊かになった。

 授産施設で障害者によって生み出される作品が注目されることは、まだまれだ。多くの芸術作品が、人知れず生まれ、人知れず廃棄されているはずだ。

 だから、沢田が通う作業所の関係者は、所内にギャラリーを作るという夢を持っている。ビッグネームとなった沢田の作品とあわせ、ほかの通所者の作品も展示する。第2、第3のサワダが生まれるかもしれない。

 障害者が臆せず進める生き方。山間の静かな静かな工房は、多くの人生の在りようを変えていくはずだ。

(小川勝也)

 従来の芸術の形式から逸脱した-あるいは自由な表現であるアール・ブリュット。滋賀はその日本の中心地といえる。作品の多くは、作家たちの内側から理由もなく自然発生的に生まれてくる。彼らの生命そのものといっていい。彼らが呼吸し、心臓が拍動することが、そのまま作品につながっている。その代表的な滋賀の作家たちを4回にわたって紹介する。

=敬称略

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