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【西論】橋下維新の停滞…「民」「公」の意義を問い直すとき 大阪ダブル選2年 編集長・堀川晶伸

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【西論】
橋下維新の停滞…「民」「公」の意義を問い直すとき 大阪ダブル選2年 編集長・堀川晶伸

 例えば、水道事業統合の場合、市側は「統合後の18年間で221億円の削減効果が見込まれる」と強調。幼稚園の廃園・民営化はトータルで、「年間25億円以上の削減効果がある」と説明していた。

 行政にとってコスト削減は重要な課題だが、従来、「公」が担ってきた役割を、効率化という尺度だけで測って良いのか。単純な市場原理になじまないからこそ、「公」がその事業を受け持ってきたのではないか-。そうした住民の不安を十分解消していないことが、この半年間の維新の停滞感の最大の要因ではないだろうか。

 幼稚園の廃園・民営化に対する「障害のある子供の受け入れは私立では難しい」という保護者の訴えはその典型だろう。今回の泉北高速鉄道をめぐる地元の声も同様の文脈にある。

 「市場競争そのものは、市場原理にのらない『社会』の安定性によって支えられなければならない。それが崩れてしまえば、市場経済それ自体が壊されてしまう、ということだ」

 佐伯啓思・京大教授が10月、本紙朝刊に寄せたコラム「日の陰りのなかで」の一節だ。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)についてふれた文章だが示唆に富んでいる。

コスト論議の先に

 現在、橋下市長と松井知事は公約として掲げた大阪都構想の実現に全力を傾注している。効果額については今月6日に最大年916億円と公表されたが、根拠や試算方法をめぐり、議会などから疑問が出されている。

 橋下氏は「(府と大阪市の)二重行政のロスをなくすという意義で都構想を掲げたが、節約効果だけが議論されている」と述べている。「コスト論議だけでよいのか」という反論は、維新の手法にそのままはねかえってくる可能性があるが、論議を進めるうえで重要な指摘だ。

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