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【精神科女医のつぶやき】片田珠美(50)あらがいがたい「黒い○○」の誘惑

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【精神科女医のつぶやき】
片田珠美(50)あらがいがたい「黒い○○」の誘惑

 暑いので、毎日麦茶を沸かして冷やしている。この麦茶は、ただの麦茶ではない。黒豆入りである。また、私は玄米を食べているのだが、黒豆とか黒米とかを混ぜて炊いている。

 そういえば私の知り合いが黒酢ニンニクを自宅で作ったと言っていたが、これも、普通の酢ではなく黒酢である。黒豚、黒砂糖なんかも、何となく健康に良さそうだ。黒帯やクレジットカードのブラックカードも、選ばれた者にしか許されない印象を与える。

 もちろん、黒には悪いイメージもつきまとう。黒い金、黒い交際、ブラック企業など、挙げればきりがないが、何となく不吉な運命を暗示するようなところがある。

 「ノワール・デジール(黒い欲望)」というフランスのロックバンドが1990年代を中心に活躍した。シャンソンをありがたがる方が日本には結構いらっしゃるようだが、フランスの若者にとってはそんな古くさい音楽よりもロックというわけで、このバンドも心の痛みや社会への怒りを熱唱し、ファンの心をつかんでいたらしい。

 ところが、ボーカルのベルトラン・カンタが2003年に恋人の女優を口論の末、殴打して死亡させた。カンタは懲役8年の刑を受け、07年に仮釈放されたが、こんどはカンタの元恋人で、事件後も彼を支援していた女性が10年に自殺した。このように悲劇が相次いだせいか、同年11月に解散してしまったのである。

 解散後、やはり名前が悪かったのではないかという説がまことしやかにささやかれた。たしかに、ポーの小説『黒猫』が見事に描いているように、黒い○○は不吉な予兆として、恐怖をかき立てる。

黒に魅了される私たち “白は純潔”なら黒は…

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