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【大阪から世界を読む】山火事で死んだ19人の消防士…異常熱波の炎に焼き尽くされたそれぞれの「人生」

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【大阪から世界を読む】
山火事で死んだ19人の消防士…異常熱波の炎に焼き尽くされたそれぞれの「人生」

 だが、彼らはそれに耐えることができた。まもなく抱くはずだったわが子の存在があったからだ。だが、火はそうした夢や希望も奪い去った。

父の背中を追って

 犠牲者の多くは20歳代だった。危険で過酷な消防士という職業を選んだのは、同じ消防士だった父親のようになりたかったからだ。

 ケビン・ヴォイジェクさん(21)にとって、消防署は「もうひとつの実家」だった。父親のジョーさんはロサンゼルスで約30年勤めたベテラン消防士。子供のころ、いつもジョーさんについて消防署に行き、街を守るために働く父親の姿を毎日のように追っていた。だから、自分も、父と同じような存在になりたいと思った。

 クリス・マッケンジーさん(30)も、消防士だった父親のマイケルさんの後を追い消防士となった。マイケルさんは地元メディアに対し「いまは何も話せない」と言葉を詰まらせながら語ったという。だが、クリスさんは精いっぱい火と闘った。マイケルさんがそうしたように。

 米国では乾燥した気候で大規模な山火事が頻発する。このため全米ではホットショットと同様の部隊が約110カ所に配置されている。

 犠牲者19人のうち、唯一40歳代のエリック・マーシュさん(43)は9年前、プレスコットのホットショットの創設に関わった。チームの指揮官役でもあり、父親のような存在でもあった。

 マウンテンバイクの愛好家で、アリゾナ州立大学時代は生物学を専攻。大学時代から消防士になるよう志し、20年間勤務した。ただ妻のアマンダさんとの間で子供には恵まれなかった。

 チームに入ってくる若者に対し、エリックさんは訓練では消防士の仕事の厳しさを教え、プライベートでは優しく接した。若者たちの将来をいつも心配していたともいう。

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