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【大阪から世界を読む】山火事で死んだ19人の消防士…異常熱波の炎に焼き尽くされたそれぞれの「人生」

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【大阪から世界を読む】
山火事で死んだ19人の消防士…異常熱波の炎に焼き尽くされたそれぞれの「人生」

 午後2時半、アンドリューさんから写真が送られてきた。複数の隊員が小高い丘の岩に腰掛け、火を眺めていた。山火事に対峙(たいじ)する間の一瞬の休息の様子だった。午後4時8分、ジュリアンさんは「きょうはヤーナルに泊まるの?」とメールしたが、返信はなかった。その夜、アンドリューさんは亡くなった。

 「彼らはヒーローとして亡くなった。私たちはみんな彼らを愛している」

 ジュリアンさんは惨事の後、米紙USAトゥデーにそう答えた。

わが子に会うことなく…

 犠牲者の中には、まもなく家族が増える“未来のパパたち”もいた。

 妊娠7カ月の身重の妻を残して犠牲になったショーン・マイズナーさん(26)には2つの夢があった。ひとつは昨年亡くなった祖父のような立派な消防士になること。もうひとつは子供を持つことだった。前者は昨年9月、ホットショットに選抜されることで達成した。後者は今年4月、妻アマンダさんが新たな命を授かったことを知った。これから、多くの幸せに出会えるはずだった。

 大学時代、アメフットの選手だったショーンさんは細身で身長も高くなく、スピードもなかった。だが、「ハートが強く、タックルを続けた。何よりチームプレーに徹していた」(当時の恩師)といい、ホットショットでも同様の役割を担い、信頼が厚かった。

 ビリー・ウォーネックさん(25)は12月に、アンソニー・ローズさん(23)も10月にそれぞれ父親になるはずだった。

 消防士の仕事は過酷だ。山火事の場合、重い荷物を担ぎ、一日10時間以上も山の中を歩く。火災の延焼は長期間に及ぶ。だから、厳しい体力テストで選抜される。1分間に腹筋40回、腕立て伏せ25回など、高い運動能力も必要とされた。

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