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【大阪から世界を読む】山火事で死んだ19人の消防士…異常熱波の炎に焼き尽くされたそれぞれの「人生」

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【大阪から世界を読む】
山火事で死んだ19人の消防士…異常熱波の炎に焼き尽くされたそれぞれの「人生」

 火を消し止め、人を、街を守る-。命を賭けた壮絶な現場で、世界中の消防士たちは日々闘っている。米西部アリゾナ州ヤーネルで6月下旬、大規模な山火事の消火活動に当たった消防士19人の命が奪われた。身重の妻や子供を残して犠牲になった若者や、父を追って消防士の道を歩み始めた青年、その若者たちを自らの子供のようにかわいがった指揮官…。火はそれぞれが抱いていた夢や希望をも奪った。社会のために尽くし、散った男たちの「物語」をみる。

(大谷卓)

子供たちが待っている

 山火事は6月中旬に落雷が原因で発生。記録的な猛暑と強風にあおられて燃え広がった。ヤーネル近隣のプレスコットから、山火事に対処するための特殊部隊「ホットショット」が出動したが、6月30日、異常な熱波で急速に広がった炎に囲まれ、逃げ場を失った末に19人が犠牲となった。

 複数の米メディアによると、犠牲になったアンドリュー・アシュクラフトさん(29)は当日、妻のジュリアンさんとメールでやりとりをしている。ニューヨーク・タイムズ(電子版)が伝えた。

 「あなたがいなくて寂しいわ」

 午前6時24分、ジュリアンさんが送ったメールに、アンドリューさんはこう返信した。

 「僕も子供たちと会えなくて寂しい。愛しているよ、ジュリアン」

 消火活動中は1歳から6歳までの4人の子供たちに会う時間が限られる。それをもどかしく思っていたのだろう。アンドリューさんは早く雨が降って鎮火につながってほしいことを、またジュリアンさんは子供たちを水泳に連れていったことなどをそれぞれ伝えた。

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