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【衝撃事件の核心】
「公務員が人を殺した!」 判決が示した部活「柔道死」の中身 残った遺族の不信感
遺族側代理人は、顧問個人の賠償責任が棄却された点について、「誰が見てもおかしい状態で危険な技を掛けた。公務員が人を殺したというのに近い。特殊性を考えてほしかった」と話した。
「根性論」で事故はなくならない
柔道は、他のスポーツと比べて練習中の死亡率が飛び抜けて高いとされる。
「『きつい練習を乗り越えてこそ強くなる』という根性論がある限り悲惨な事故はなくならない」。柔道事故を研究する名古屋大大学院の内田良・准教授(教育社会学)はこう指摘する。
一方で、柔道を含む武道が昨年度から必修化されたことに対する懸念が高まっている点については、「授業と部活での危険性は別物」と強調する。内田准教授によると、柔道事故の9割は部活中に発生している。
「授業は時間数が少ないうえ初心者を教えるので危険な事故は少ない。ただ部活動は厳しい練習を乗り越えた経験者が経験則で指導することが多く、特に柔道は暴力的な練習になりがちだ」と内田准教授。判決については、「そもそもフラフラになるまで練習をしていたことが問題」と話し、(3)以前の過失に言及しなかった点に物足りなさを示した。
「再発防止を願い提訴したのに、こんな内容ではスポーツ事故はなくならない」。遺族らにとって、不信感が残る判決だったようだ。
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