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【関西の議論】消えるキャバレー、消える「昭和」、消える“情”…客を見詰め続けたホステスたちは文化を守った

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【関西の議論】
消えるキャバレー、消える「昭和」、消える“情”…客を見詰め続けたホステスたちは文化を守った

テレビに出演したこともある大阪の“名物ホステス”だが、「どんどん客足が減っているのはどこも同じよ」とぽつり。

 「バブルの頃は4年半くらいで5千万円使ってくれたお客さんもいたわ。もう今は昔ね」。職業は聞かなかったが、その客は毎日のように店を訪れてひばりさんを指名。閉店後は高級店の料理を食べ歩いたという。

 最後に会ったのは約15年前の春。花見にでかけ、ひばりさんの好物のサザエのつぼ焼きをごちそうしてくれた。自分は手をつけず、その後に店に同伴出勤した際はいつも通り数十万円分の会計を済ませた。「じゃあまた来るわ」。そう言って手を振ったきり、もう店に現れることはなかった。

 「もうお金を使いきっちゃんでしょうね。でも私にはそれを言えず、普段通りの態度だった。当時は若かったけど、今だったら無理させずに楽しんでもらえたのに」。遠くを見つめて寂しそうに笑い、「男って見栄を張っちゃうから。女はそれを分かってあげなくちゃね」。

 現在は一夜で数十万円を使う客はほとんどいない。ライバル店も少しずつ姿を消していき、キャバレーの閉店も決して珍しいニュースではなくなった。

 「客足は落ちているし、私もいつまでこの仕事を続けていられるか分からない」。しかし、「キャバレーは単なる商売ではなく、昭和から続くひとつの文化。お客さんがいる限り、フロアに立ち続ける」。

 場内アナウンスで指名が告げられると、ひばりさんはスッと姿勢を正し、ひらりとドレスを翻して席を立った。

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