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【関西の議論】消えるキャバレー、消える「昭和」、消える“情”…客を見詰め続けたホステスたちは文化を守った

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【関西の議論】
消えるキャバレー、消える「昭和」、消える“情”…客を見詰め続けたホステスたちは文化を守った

後ろ姿がカッコよかったヤッサン

 ユウコさんは同店に勤務して27年。ユウコさんによると、10~15年前のバブル期が最も盛況だったという。連日客が長蛇の列を作り、平日でも開店直後にはすでに満員御礼。「これあげるよ。好きに使っていいから」。自営業の客にクレジットカードを渡されたり、高価なプレゼントをもらうことも珍しくなかった。お気に入りのホステスのために1日で指名を100回入れたり、マンションを贈る客もいたという。

 「キャバレーの良いところは情よ。ナニワの情」。大金を落とす客もいるが、目の前の客の予算をしっかりと把握し、無理のないように飲ませるという。子供を抱えた“訳あり”のホステスも多いといい、「子供に何か買ってやり」と子持ちのホステスばかり10人を席に呼び、1人に1万円ずつ贈る客も。

 「男と女を超えた仲の人もいる。葬式に行った人もいるし、平社員から役員に出世するまで見届けた人もいるわ」。60代のマユミさん(仮名)によると、中には親子2代で店を訪れる客もいるといい、「一晩の席だけの付き合いだけじゃなく、人と人として応援し合っている。それがキャバレーよ」と笑顔を浮かべた。

 歴史のある同店には、各界の著名人も多く訪れた。 「来たよ」。ラフなジーパン姿でぶらりと入店することが多かったというのは、漫才師の故・横山やすしさん。ブラウン管の中では破天荒なイメージだったが、店の関係者によると「1~2時間静かに飲んでサッと帰っていく。後ろ姿の格好良い紳士だった」といい、「つけといてね」と一言残して迎えの車に乗り込むのが常だったという。

客足落ちても「昭和から続くひとつの文化」

 一方の京橋には、今年で創業55周年を迎えた「香蘭」が店を構える。200坪のフロアに平均年齢は40代後半~50代の約80人のホステスが在籍。長らくナンバーワンを務めていたのが60代後半のひばりさんだ。 黒とピンクの水玉のドレスに身を包み、茶色に染めた髪をアップにまとめ、「こうすると気合が入るの。女は着飾らなきゃだめよ」。高校卒業から梅田のキャバレーで働きはじめ、同店には22年勤めている。

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