「どうせ死刑」「道外れた」…青葉容疑者、なぜ京アニ標的に - 産経ニュース

「どうせ死刑」「道外れた」…青葉容疑者、なぜ京アニ標的に

入院先の病院から青葉真司容疑者を移送するために車両をシートで覆う捜査員=27日午前7時38分、京都市内の病院(恵守乾撮影)
 アニメ制作会社「京都アニメーション」の放火殺人事件で逮捕された青葉真司容疑者(42)は逮捕前の任意聴取に「小説を盗まれた」などと主張し、恨みから、会社そのものに「殺意があった」と明かしたという。ただ京アニ側は盗作を全面的に否定し、京都府警の家宅捜索でもそうした供述を裏付ける物証は見つかっていないもようだ。また、青葉容疑者は「道に外れた」と事件への後悔をにじませたり、「どうせ死刑」と投げやりな態度を見せたりしたことも。なぜ京アニが標的になったのか。全容解明に向けた捜査が本格化する。
現場周辺に何度も
 「俺の小説をぱくった」
 昨年7月18日、事件直後に府警の捜査員に身柄を確保された青葉容疑者は、こう叫んだ。さらに、同年11月の任意聴取では「一番多くの人が働いている第1スタジオを狙った」とも。計画的に大量殺人を実行したことを示唆した。
 強い殺意は事件前の行動から読み取れる。青葉容疑者がさいたま市内のアパートを出発したのは、事件3日前。その時を振り返り、「埼玉県の自宅を出るときから殺意があった」と話したという。
 捜査関係者によると、京都入りした青葉容疑者は事件前日の17日、京都府宇治市のホームセンターでガソリンの携行缶を購入。台車に載せ、実に数キロにわたって押しながら歩いて移動し、京アニ本社(宇治市)や現場となった同社第1スタジオ(京都市伏見区)の周辺を下見するようにうろついた。
 そして現場近くの公園で寝泊まりし、18日朝、今度はガソリンスタンドでガソリン計40リットルを手に入れた。人目のない場所で携行缶からバケツに液体を移した後、同日午前10時半ごろ、凶行に及んだ。
計画性や殺意
 自らも大やけどを負った青葉容疑者は、事件直後に現場付近で身柄を確保され、入院。府警は回復を待って、少しずつ任意聴取を始めた。
 そこでは、「自宅を出るときから殺意があった」「一番多くの人が働いている第1スタジオを狙った」などと計画性や強固な殺意をうかがわせる供述をする一方、「道に外れることをしてしまった」「どうせ死刑になる」と話したという。
 青葉容疑者は「小説の盗用」が動機だと示唆してもいるが、京アニ側は、小説などの公募に青葉容疑者と同姓同名の人物から応募があったことは認めつつ「同一・類似の点はないと確信している」と盗用を強く否定している。
 府警も、青葉容疑者宅の家宅捜索でタブレット端末などを押収したが、動機などにつながるものは出てきていないという。
 青葉容疑者は20代の大半を派遣社員やアルバイトとして過ごした。平成20年のリーマン・ショックで職と住まいを失うなど困窮。24年には茨城県内でコンビニ強盗を起こし、逮捕・起訴された。当時の裁判記録によると、「仕事で理不尽な扱いを受け、社会で暮らすことに嫌気がさした」と説明したとされる。
 刑務所を出所後は騒音トラブルを繰り返したといい、事件4日前には、近隣住民に「殺すぞ」「こっちも余裕ねぇんだ」などと敵意を向けていたという。