「パパ活」「家出」検索に警告 犯罪の入り口塞ぐ新手法 - 産経ニュース

「パパ活」「家出」検索に警告 犯罪の入り口塞ぐ新手法

 インターネットを通じて大人と出会った子供が犯罪に巻き込まれるケースが相次ぐ中、大阪府は新年度から被害防止に向け「パパ活」や「家出」などの言葉を検索した人の端末に、注意や警告のメッセージを表示させる取り組みを始める。利用するのはネットの閲覧履歴をもとに関心の傾向を予測して配信する「ターゲティング広告」だ。新たな手法で未成年者の被害を防げるか。(井上浩平)
続発する少女監禁事件
 「大人が性欲を満たすため、SNS(会員制交流サイト)を通じて青少年に簡単に近づける状態だ。信頼できる人物かのように見せかけることもできる」
 大阪府の吉村洋文知事は3月、記者団の取材にこう指摘した。
 府内では昨年11月、大阪市住吉区の小学6年の女児がオンラインゲームで知り合った栃木県の男の自宅に監禁される事件が発生。男は女児に対し、ツイッターで「来てほしい」などのメッセージを送っていた。
 これとは別に昨年10月、ツイッターに「家出したい」と投稿した兵庫県の女子中学生が、埼玉県の男に「養ってあげる」と誘い出される未成年者誘拐事件もあった。
 警察庁によると、平成30年にSNSを通じて犯罪に巻き込まれた未成年は1811人。情報セキュリティー会社「デジタルアーツ」が31年に10~18歳の約600人を対象とした調査では、ネットで知り合った人と会うことについて、「仲良くなったのでできれば会いたい」「すでに会っていて、これからも会いたい」といった前向きな回答は48・7%に達した。
 吉村知事は「『パパ活』などの言葉を検索することが犯罪の入り口になっている。つながりの部分を断つ必要がある」と強調する。
隠語もキーワードに
 こうした状況を受け、府が新年度から始めるのが、ネット利用者の居場所や年齢、趣味などに応じて配信する「ターゲティング広告」を応用した被害防止策だ。
 「パパ活」「家出」「援助交際」といったキーワードを検索した人のスマートフォンやパソコンに、犯罪被害への注意喚起や犯罪になるとの警告文を自動的に選択して表示させる。
 府青少年課によると、警察が性犯罪につながる恐れのある投稿に対し、警告メッセージを送るケースはあるが、自治体が行うのは珍しいという。
 府の“ターゲティング警告”にかかる検索キーワードは検討中といい、担当者は「ネットは1、2カ月で違うトレンドが出てくる。新しい言葉や隠語もあるので、学校でネットパトロールをしてくれている大学生らの力も借りて、キーワードを決めたい」と話す。子供たちが夏休みに入る前の実施を目指すとしている。
SNSの危険性を教育
 大阪府は2月府議会で、18歳未満へのわいせつ行為を規制する府青少年健全育成条例の改正案を提案している。これまでは他の自治体と比べ取り締まり要件が厳格で、SNSを通じた性犯罪に対応できなかったことから、条例改正により要件を緩和し、規制対象を他の自治体並みに拡大するのが狙いだ。
 改正条例の実効性を高めるため、警告文には条例の存在を示す。不適切なキーワードで検索してしまう未成年には虐待や居場所がないなどの背景も影響しているとみられ、注意喚起の際に相談窓口を明示する方針という。
 子供のネット利用に詳しい近畿大の辻本典央(のりお)教授(刑事法)は「知り合うきっかけが『パパ活』や『援助交際』などのキーワードで明確な場合もあるが、好きなバンドやゲームの話で盛り上がって知り合うパターンもある」と指摘。SNSは匿名性があり他人とつながりやすい一方、直接対面せずに知り合うためリスクに対するハードルが低いとし「子供たちには学校でSNSとの付き合い方に加え、トラブルや事件が起きうることを改めて認識させる必要がある」と語った。