復活相次ぐ関空・欧州路線 勢いづく旅行各社 - 産経ニュース

復活相次ぐ関空・欧州路線 勢いづく旅行各社

 関西国際空港と欧州方面を結ぶ路線の復活が相次いでいる。訪日旅行人気が欧州で広がり、今年はカタール、スイス、トルコなどの路線が登場。省エネ航空機投入による追い風のほか、国際会議や大型展示会の需要拡大が背景にあるが、関西の旅行業界からは欧州方面への旅行人気が高まるのではと期待が集まっている。(田村慶子)
国際会議の需要も
 近年は東南アジア方面の格安航空会社(LCC)の増便が目立っていた関空で、今春からは大手航空会社による欧州方面への長距離便が続々と就航する。昨年4月にも英ブリティッシュ・エアウェイズが同社として約20年ぶりにロンドン線を再開しており、「欧州方面への直行便が増え、便利になる」と喜ぶ声は多い。
 今春就航の口火を切るのは3月のスイスインターナショナルエアラインズ。チューリヒ線は旧スイス航空の路線から18年ぶりの復活となる。最大の要因は訪日外国人客の急増で、スイスからの訪日客数は平成30年で5万2099人とアジアに比べて少ないが、ここ10年で倍増している。スイスインターナショナルエアラインズの広報担当者は「スイスと成田を結ぶ便は常に満席。日本への需要はさらに期待できる」と関空への就航理由を説明する。
 4月にはカタール航空のドーハ線、ターキッシュエアラインズのイスタンブール線がそれぞれ復活。両路線は欧州中規模都市への乗り継ぎにも優れる。6月にはアエロフロート・ロシア航空が約17年ぶりにモスクワ線を再開。欧州路線の就航はめじろ押しだ。
 カタール航空グループのアクバ・アル・バクル最高経営責任者(CEO)は「大阪は非常に重要なマーケット」と話し、2022年開催のサッカーワールドカップ(W杯)カタール大会など、大規模イベントへの関西からの誘客に期待する。ターキッシュエアラインズは長期休暇を楽しむシニアなど富裕層に加え、日本からの若年層も取り込みたい考えだ。
 また各社とも、昨年6月に大阪市で開催された20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)を機に、日本国内で今後、国際会議や大規模な展示会などMICE(マイス)が増えるとみている。ビジネス需要が中心となるMICE市場で、ビジネスクラスやファーストクラスなど高価格帯の座席供給力が武器となる。MICE誘致に取り組む関西にとっても、欧州方面とを結ぶ直行便は必須条件だ。
燃費向上が追い風
 長距離便が増えてきた背景には、航空機の燃費向上がある。過去には燃料費が足かせとなって路線廃止に追い込まれたり、就航に二の足を踏んだりする航空会社も多かった。
 「イスタンブールまでは約13時間かかる運航となるため、以前は採算に乗りにくかった」と打ち明けるのは、約3年ぶりに運航を再開するターキッシュエアラインズ旅客営業部の堀直美部長だ。
 平成29年4月まで同路線で導入していた欧州エアバスの「A330」を、今回は米ボーイングの「B787」に変更した。炭素繊維複合材による機体の軽量化やエンジン性能の改善で従来の同型機より2割の燃費向上を実現しており、経営リスクを大きく軽減できたことが再就航の追い風となった。
 “LCC一本足打法”から脱すべく、関空も長距離便就航への働きかけを強化してきた。関空を運営する関西エアポートは29年11月、国際線の着陸料を約5%引き下げ、中長距離の新規路線を対象に今年3月までの3年間、着陸料を40~100%割り引く策も講じた。「空港の価格戦略は、訪日客の増加とあいまって効果をもたらした」と同社の広報担当者は話す。
就航記念プランも
 関空の路線充実を受け、旅行各社は日本人の欧州方面への旅行拡大に期待を寄せる。就航記念プランなどを打ち出し、直行便ならではの利便性や選択肢の広がりを強力にアピール。阪急交通社は「直行便でフライト時間が省ければ体の負担が減り、足を延ばす動機づけになる」と喜ぶ。
 JTBの松本慎一・西日本航空仕入統括部長は「欧州への渡航経験がない新たなユーザーを掘り起こせるうえ、長距離路線の利用となれば高単価を狙える」と歓迎。その上で、供給過多になれば値下げ競争に陥り再び運休や路線廃止のリスクが高まることから、「訪日外国人と日本人の利用者がバランス良く座席を埋める戦略が航空会社には求められる」と指摘している。