世代超え、五輪代表選考会目指せ 大阪国際女子マラソン27日号砲  - 産経ニュース

世代超え、五輪代表選考会目指せ 大阪国際女子マラソン27日号砲 

全日本実業団対抗女子駅伝予選会でアンカーを務めた福士加代子。大阪国際で2年半ぶりのマラソンに臨む=昨年10月、福岡県宗像市(鳥越瑞絵撮影)
アジア大会女子マラソンで9位でゴールした田中華絵=昨年8月、ジャカルタ(納冨康撮影)
2度目のマラソンで飛躍が期待される石井寿美(宮沢宗士郎撮)
 「第38回大阪国際女子マラソン」は27日午後0時10分に号砲が鳴る。2020年東京五輪代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」(9月15日開催)の出場権が懸かる今大会。例年以上にタイムと順位を意識したレースが展開されるだろう。女子はまだMGC出場権獲得者が8人と少ない。新たに何人のランナーが名乗りを上げるかが最大の焦点だ。(丸山和郎)
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 女子のMGCシリーズは17年夏の北海道マラソンから始まった。前田穂南(ほなみ)(22)=天満屋=が一番に切符をつかみ、その後も安藤友香(24)=スズキ浜松AC=や松田瑞生(みずき)(23)=ダイハツ=ら、リオデジャネイロ五輪後にマラソンに挑戦した若手が名乗りを上げてきた。
 現時点で女子は8人。男子の21人に比べると、寂しい印象は否めない。男子は学生時代から箱根駅伝などで20キロ以上の距離を走り、マラソンを走る土台作りができている。一方で、女子は実業団駅伝でも最長区間は10キロ程度で、ハーフマラソンを走る選手も多くない。まだ選手層が薄いことを物語っているといえる。
 現状のメンバーは若手が中心だが、日本陸連の瀬古利彦・マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは「ライバルが多いほど、切磋琢磨(せっさたくま)できる。松田瑞生選手のような強いランナーが、今後あと2人は出てきてほしい」と期待を寄せる。若手を脅かすようなベテランや中堅の選手がMGCのメンバーに加わっていくことで、ハイレベルな争いが展開されるだろう。
 日本女子の中でベテランの代表格が福士加代子(36)=ワコール=だ。リオデジャネイロ五輪以来、約2年半ぶりのマラソン復帰レースになるが、「東京五輪がなかったら走っていない。五輪には(マラソンで)1回出たけど、メダルを取っていないから」と強調。リオ五輪代表の田中智美(31)=第一生命グループ=と同様に、五輪の舞台でリベンジしたい思いが新たな意欲へとつながった。東京五輪という目標がなければ、競技を引退していた可能性もある。実績豊富なベテランが、かつてのような走りを見せられるかは大きな注目点だ。
 充実期を迎えている中堅も新たな決意でMGCを目指す。昨夏のアジア大会(ジャカルタ)代表の田中華絵(28)=資生堂=は、アジア大会で9位と不完全燃焼に終わった。ただ、日の丸を背負って走った経験を糧に、「もう一回、日の丸をつけて、ジャカルタの借りを返したい」と意気込む。17年大阪国際は2時間26分19秒で3位に入ったが、そのレースを再現できればMGC切符はつかめる。東京五輪はまだ遠い存在であっても、その前段階であるMGCを目指すことが、選手にとってのモチベーションにもなっている。
 若手の中にも将来が楽しみな選手はまだまだ多い。2度目のマラソンに臨む石井寿美(ひさみ)(23)=ヤマダ電機=もその一人。故障からの復帰レースになるが、安藤友香が日本歴代4位となる2時間21分36秒の好タイムをマークした17年名古屋ウィメンズで、ハイペースの先頭集団に果敢に食らいつく走りをみせた姿が印象深い。同年代の選手の活躍も何よりの刺激になっている。
 日本陸連の河野匡(ただす)長距離・マラソンディレクター(大塚製薬陸上部監督)は「みんなの五輪に行きたいという気持ちをMGCのレースに結集できれば、日本のマラソン界が新たなステージにいける」と期待を寄せる。決して東京五輪だけがゴールではない。24年パリ五輪へとつなげていくためにも、MGCがマラソン王国復活への足掛かりになる必要がある。
 MGCという一発勝負のレースができたのは、選考過程の透明化だけでなく、プレッシャーに強い選手を育てる狙いがある。MGC出場者は4月末に確定するが、スタートラインに立つランナーがどれだけ増えるか。大阪国際は今後を占う重要なレースになる。