【華麗なる宝塚】柚香光「大きな出会いの作品になれば…」 宝塚花組全国ツアー - 産経ニュース

【華麗なる宝塚】柚香光「大きな出会いの作品になれば…」 宝塚花組全国ツアー

 宝塚歌劇団の花組男役スター、柚香光(ゆずか・れい)主演の全国ツアー「『メランコリック・ジゴロ』-あぶない相続人-」(作・演出、正塚晴彦氏)「EXCITER!!2018」(作・演出、藤井大介氏)が11月22日~12月16日、全国11会場で上演される。全国ツアー初主演の柚香は「見に来てよかった、と思っていただけるような作品作りを」と熱く語る。
■「“悪ガキ2人”が成長、今度は舞台で“悪ガキ2人”として(笑)」
 自身が組を、劇団を代表して全国を巡る公演。「事の大きさと責任」を強く感じているという。「初めて宝塚をごらんになる方にとって、“第一印象”の公演は大きな影響がある。この出会いに意味があった、と思っていただけるように頑張りたい」と話す。
宝塚歌劇団 花組全国ツアー「メランコリックジゴロ」に主演する男役スター柚香光(前川純一郎撮影)
 何より演目は、思い出深い大好きな作品だ。「先に演目を聞いたので、そのインパクトがすごくて。そこでテンションが一気に上がってしまった」
 「メランコリック-」は入団2年目の2010(平成22)年、最下級生として初めて参加した全国ツアーの演目。同期の同組男役スター、水美舞斗(みなみ・まいと)とともに出演した。
 「私たちは本当に人様に迷惑をかけて…。それでもへこたれず、楽しかった記憶しか残っていないです(笑)。舞台袖にいた“悪ガキ2人”が、今回は舞台上の“悪ガキ2人”として登場します」と笑わせた。
 1993年に花組で初演後、再演を重ねるオリジナル・コメディー。1920年代の欧州を舞台に、陽気なジゴロのダニエル(柚香)とスタン(水美)が一獲千金をたくらむ夢物語を笑いとペーソスを交えて綴(つづ)る。
 「正塚先生の描く、男性像がすごく好きだなとあらためて思います。男性同士特有の空気感や掛け合いがとても粋でオシャレで」
 掛け合いの“相棒”、スタン役は同期の水美。「今までのダニエルとスタン像とは違い、限りなく、私と水美の普段の関係性に近くなっています」と笑う。
 これまでダニエルは少し大人でクール、スタンは自由奔放と対照的なイメージを持っていた。そして過去に演じたスターたちはみなキャリア豊富だった。今回演じるのは自身たち、入団10年目の柚香と水美の同期コンビだ。
 「先生が、背伸びして大人の男性を演じるより、等身大の若者の関係性を築いていこうとおっしゃって。そのままの私たちならではの作品を作りたい」
 役柄の2人は、常にべったりと一緒にいるわけではないが、くされ縁がある。自身と水美も「あえて、言葉には出さないけど、確実に縁がありますよね」。下級生の頃から「2人で1セット」で、一緒に動き回ることが多かった。
 「家が隣で、クラスも一緒で、習い事も一緒のライバルみたいな(笑)。ベタベタしていないけど、強いつながりがある。そこも出せたらいいですね」
 また、“究極に格好良い”場面で構成されたショー「EXCITER!!」への思いも強い。2009年の初演時は入団1年目、花組に配属され、初出演した公演のショーだった。翌年の再演、昨年の全国ツアーと過去3回すべてに出演している。
 「私が初めて男役として出演したショー。すごく思い入れがあります。どれだけ学年や作品を重ねても、すさまじいインパクトがある」。楽曲、振り付け、演出、構成、照明とあらゆるものが見事に融合された作品と感じている。
 「最初にこの作品に出合えたのは本当に幸せですし、この思い出深き名作にまた、“くされ縁”の水美と出演できることはなんてありがたいご縁だろうと」
 水美とは普段、互いに照れもあり、「頑張ろう」「大丈夫?」など直接的な言葉を掛け合わない。だが、今回のショーの話を聞いたとき、自然に2人で「ありがとう」と言った。
 「花組生となって初めて一緒にこのショーに出てから、ずっと離れずに同じ組で入団10年目を迎え、また一緒にこのショーに挑戦できる。このつながりに、この縁に、ありがとう、と」
 東京都出身。兄2人、弟2人がいる。わんぱくで毎日かすり傷を作る子供だったが、「自分は5人の中で唯一の女の子、という責務をうすうす感じていて」ピアノとクラシックバレエを習っていた。
 バレエ教室の教師が、提示してくれた道の1つが宝塚歌劇だった。母が入手した宝塚音楽学校の願書を見てその授業内容に惹(ひ)かれ、宝塚をよく知らぬまま、受験を決めた。「朝から歌って踊れてタップダンスもできる。日本舞踊もしてみたい。進路として音楽学校に入りたかった」
 試験会場では「場違いも度を超えると、社会科見学みたいになって。落ち着いていました」。受験生がきちんとリーゼントや整髪料だけで固めたお団子ヘアにしていることに驚いた。
 自身は当時長髪。髪を上げていたものの、音楽学校の本科生が飛んできて直してくれた。「2次試験はきれいなお団子に仕上げたつもりでしたが、やはり直していただいて」と苦笑い。一度目の挑戦で合格した。
 男役、娘役の選択は自身の希望でほぼ決まる。自身は選択申請日を聞き逃しており、当日に決めた。「当時、どちらでも可能な身長でどうしようと考えているうちに順番が迫ってきて。隣の人が男役、と言ったので、自分も男役です、と。勢いでした」と笑わせた。
 そんな柚香は今年、男役として一人前といわれる節目の、入団10年目を迎えた。トップの明日海(あすみ)りおを最も近くで支える立場となり、今年の博多座では明日海と役替りも。「あれは大変なミッションでした」と振り返る。
 「今年はこれまでの9年間とは全く違う濃密な年でした。自分と向き合う時間が多く、変わったなと確かに感じるものがある」。その上で来年は「また一度、自己を開放することもしてみたい」という。「今、良くも悪くも凝り固まっている気がするので。その意味では大好きな演目の今回、少し開放することができたら」。大きな瞳が輝いた。