市街地浸水10分で予測 国交省研究所がシステム開発 ゲリラ豪雨対策など想定

 
事前の浸水対策が可能に

 2020年東京五輪・パラリンピックを見据えた豪雨対策として、予想雨量からゲリラ豪雨などを推測し、場所特性を踏まえた浸水被害予測を10分という短時間で計算、情報提供するシステムを、国土交通省国土技術政策総合研究所(茨城県つくば市)が開発した。市街地での地下浸水や道路の冠水の事前予測で迅速な避難・対応を促し、被害を最小限に食い止めるのが狙い。

 今年度中にも東京の一部自治体で運用を始め、東京五輪までには五輪会場が多い都内東部での本格運用を目指す。将来的には低平地で内水氾濫が起きやすいとされる大阪や名古屋、福岡など、大規模な地下街を抱える自治体とも協力し、運用エリアを広げる見込み。予想雨量に加え、下水道や近くの河川状況など場所の特性も踏まえた浸水規模の予測は、世界でも最先端の技術という。

 システムでは予想雨量のデータから豪雨を察知し、下水道や近くの河川の状況などを踏まえ、エリア一帯への水の流入量を10分以内に計算。約1時間後の浸水の深さや範囲を25メートル四方ごとに予測し、地図に示す。情報はインターネットの専用ウェブサイトに掲載し、10分ごとに更新する。利用者が登録した地点が設定値を超過する浸水になると見込まれる場合は、アラートメールも送信する。

 急な大雨が短期間で局地的に降るゲリラ豪雨で、雨水が排水できずに市街地にあふれる「内水氾濫」は近年問題化しており、地下街や地下施設などは特に注意が必要だ。8月27日には東京都世田谷区付近で1時間に約110ミリの猛烈な雨が降り、道路の冠水や住宅での浸水被害が発生した。

 ただ、内水氾濫は土嚢(どのう)や防水板の設置など、比較的簡単な対策で被害を食い止めることも可能という。システムにより事前の浸水予測が把握できれば地下施設の利用者の早期避難、高齢者ら支援が必要な人への声かけといった早めの対処も可能で、同研究所は「東京五輪では世界から多くの訪日外国人が東京に訪れる。豪雨でパニックが発生しないよう、しっかり対策したい」としている。

 昨年は約半年間にわたり、神田川流域に位置する東京都中野区や武蔵野市で社会実験を実施。市民や自治体関係者、地域防災団体など約50人が参加した。アラートメールの受信を機に防災情報をチェックする人も増え、防災意識が高まったという。

 中央大学の山田正教授(防災工学)は「雨量から浸水を予測し、情報提供するシステムの意義は大きい。近年は今までにないゲリラ豪雨が頻発し、浸水・洪水被害も多発している。システムを活用するだけでなく、防災意識を高めることが必要だ」としている。