【華麗なる宝塚】紅ゆずる5年ぶり台湾公演 善か悪か分からぬ謎めいた主人公「爪痕、思い切り残したい」 - 産経ニュース

【華麗なる宝塚】紅ゆずる5年ぶり台湾公演 善か悪か分からぬ謎めいた主人公「爪痕、思い切り残したい」

宝塚星組トップの紅ゆずる=兵庫県宝塚市の宝塚歌劇団
 宝塚歌劇団星組トップスター、紅(くれない)ゆずる主演「Thunderbolt Fantasy東離劍遊紀(とうりけんゆうき)」(脚本・演出、小柳奈穂子氏)「Killer Rouge/星秀☆煌紅(アメイジングスター☆キラールージュ)」(作・演出、齋藤吉正氏)が今秋、台湾で上演される。これに先駆け、国内で上演。大阪公演を終え、13日から東京公演が開幕する。自身にとって平成25年以来5年ぶり2度目となる台湾公演に、今度は主演で臨む紅は「“爪痕”、思い切り残したいですね」と笑顔で語る。
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 気負いはない。大阪出身のトップ、紅の“大阪弁トーク”は変わらず軽快だ。
 「今、組のみんなが充実していて。私が全部を背負って『ついてきてな』じゃなく、『みんなで行こう』って雰囲気なのがすごく強み。『みんなで(台湾に)乗り込んで、爆発させよ(う)』って感じです」。何度も繰り返した“みんな”の言葉に、組のメンバーへの熱い信頼を感じる。
 宝塚の台湾公演は、元星組トップ、柚希礼音(ゆずき・れおん)主演の2013年、花組トップの明日海(あすみ)りお主演の2015年に次ぐ3度目。今回は台北市とともに、初めて高雄市でも上演される。
 芝居は、シナリオライター、虚淵玄氏によるオリジナルストーリーの、台湾の伝統的な人形演劇「布袋劇」が原作。この台湾や日本、アジア各国で人気の武侠ファンタジーを初ミュージカル化。謎多き主人公、凜雪鴉(リンセツア=紅)ら個性豊かな登場人物が、異世界で駆け引きや戦いを繰り広げる。
ショー「Killer Rouge/星秀☆煌紅」でデュエットダンスを見せるトップ、紅ゆずる(左)と相手役の綺咲愛里
芝居「Thunderbolt Fantasy東離劍遊紀」の1シーン。中央はトップの紅ゆずる
 主人公のイメージを色に例えると、「ドス黒いところから薄くグラデーションしていくブルー」と笑う。「驕慢(きょうまん)な心の悪党の鼻をへし折るのが趣味の役で、性格曲がっているなと思うんですが(笑)、裏を返せば正義でもある。最終的に、ヒーローか悪役か分からない、謎めいた存在であれたら」
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 心掛けるのは原作に“入りすぎないこと”。「原作を追求しすぎると、初めて見る方が分からなくなってしまう。イメージで伝わればいいと思っています」
 演出の小柳氏から、「EXILE TRIBE」のメンバーが出演する「HiGH&LOW」シリーズの世界観と近いといわれた。
 「なぜ鉄パイプを?とは考えない。歌舞伎でも、なぜ弁慶は薙刀を?とか余韻を残しながら去る独特の動きを何?とは思わないですよね。それと同じ」
 場面ごとに“魅せて”いく感覚という。「動きは結構、かぶいています」。主人公は長髪で、青色を基調としたゴージャスな服をまとう。「頭に重いもの(飾り)を乗せていますし(笑)。衣装に着られないようにしたい。常に長いキセルを持っている役なので、格好良い持ち方を追求し、うまく使いたいですね」
 ショーは前回の大劇場公演で上演した作。台湾公演版は10分間拡大され、新たな場面が加わった。「台湾の方の誰もが知る楽曲を、現地語で歌います」。得意のトークをフルに生かせる、紅扮する恒例のホール案内嬢、紅子(べにこ)のコーナーも用意されており、伝説のキャラクターがついに“海”を渡る。
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 やる気に満ちた組の参加メンバーたちが頼もしいという。「朝の早よから夜の遅くまで、みんなでワイワイと楽しく、やるときやって、休憩時間は『しんど~(疲れた)』と言いつつ、笑っている。明るさが取りえの組なので」。休みの日も皆で集まり、遊びながらも公演の話をするとか。
芝居「Thunderbolt Fantasy東離劍遊紀」で主人公を演じるトップ、紅ゆずる
芝居「Thunderbolt Fantasy東離劍遊紀」で主人公を演じるトップ、紅ゆずる(左)と男役スターの礼真琴
 台湾公演後、現地のファンから手紙をもらう機会がより増えた。「3度目の台湾公演で、こんなこともできるんだという、新たな宝塚をお見せしたい」。同時に、現地の原作ファンら宝塚を知らない人々に、宝塚大劇場へ足を運んでもらう好機とも考える。
 「ちょっとそこまでという距離ではないので。本拠地で観劇したいという強い気持ちを持っていただくためには、私たちがその何10倍も強い気持ちを持って臨まなければと思います」
 大阪、東京公演後、さらに稽古をして台湾公演に挑む。「きらびやかであり、迫力を見せていかなきゃいけないので。頑張ります」。5組で最上級生のトップの顔が引き締まった。
 東京・日本青年館ホール公演は24日まで。台湾公演は、「國家兩廳 院國家戯劇院」で10月20日~28日、「高雄市文化中心 至徳堂」で11月2日~5日。