【高見国生の認知症だより(37)】きょうだいをめぐる葛藤「息子は本能でかわいい」「一番頼りにしているのは娘」… - 産経ニュース

【高見国生の認知症だより(37)】きょうだいをめぐる葛藤「息子は本能でかわいい」「一番頼りにしているのは娘」…

 前回、一人暮らしの母親を近くに住む妹が毎日世話をし、兄は月1回訪ねるが何もしないという話を紹介しました。母親は兄の訪問を喜んでいるが、妹は納得できない。私は話し合いを勧めましたが、この記事に思った以上の反響があったので、紹介します。
京都府立医科大神経内科の講座で認知症の女性(82)が取り組んだ「元気トウモロコシ」。粒の印象をスタンピング技法で描き、アクリル絵の具やオイルパステルで色彩豊かに表現した(「京都<臨床美術>をすすめるネットワーク」提供)
 「妹がかわいそう」というのは、同じ娘の立場の人からです。別の人も「兄に、いたわりや感謝の言葉を言ってほしいだけなんだろうに…」といいます。
 配偶者のきょうだいに思いをはせた人もいました。「私には耳の痛い記事です」といいます。夫の、一人暮らしの母親を近くに住む夫の姉が世話してくれているが、母親は実の娘である姉にわがまま放題。いつも姉は怒っている、と言います。そしてその母親はときおり訪ねる息子が大好き。「わが家がもめないのは、年の差が大きい夫の姉も、弟がかわいいから」だそうです。この人は、金銭的負担をしているそうです。
 3人兄弟の次男と結婚した人は、「近くに住むわが家が義父母に一番お世話になっているから、何かあれば私が通ってお世話するつもり」と言います。「しかし、それは嫁の立場だから言えることかも…」とつけ加えます。
 息子と娘を持つ母親からも、感想が届きました。「とても身につまされました。私も、息子と娘では、朝起こすときの声色から違うかもしれない。息子は正直なところ、本能でかわいい。娘は自分の体の一部みたいに思って、つい感謝の言葉を言い忘れるのかなあ。でも、記事の母親も一番頼りにしているのは娘だと思いますよ」
 5人きょうだい(男3人、女2人)の友人は、親の世話をした次男と他のきょうだいが親亡き後ももめているといいます。
 “記事に触発された”みなさんが伝えてくれた内容は、それぞれがまた考えさせられるものでした。
     ◇
【プロフィル】高見国生(たかみ・くにお) 昭和18年生まれ。京都府職員だった28歳のころ養母の認知症が始まり、昭和55年に京都市で「呆け老人をかかえる家族の会」(現・認知症の人と家族の会)を設立。昨年6月に代表理事を退任、現在は顧問。同会は47都道府県に支部があり、1万1千人の会員がいる。
◇   ◇
 「認知症の人と家族の会」への電話相談は、平日午前10時~午後3時、フリーダイヤル0120・294・456。