またぞろ「CS」への疑問 セは現時点で2位以下全チームが借金、これでいいのか

鬼筆のスポ魂
昨季セ・リーグ3位から日本シリーズに出場したDeNA

 プロ野球クライマックスシリーズ(CS)の規定を見直さなければならないときがきた。終盤戦を迎えた今季のペナントレースで見たことがない現象が起きている。セ・リーグは広島の優勝マジックが「9」(72勝49敗2分け)となった9日時点で2位以下のチームが全て勝率5割を割った。もし、このまま2位以下が貯金を一つもつくれず、CSに進出するとなると2007年に導入されて以来初めてのケースとなる。

 制度が導入されて以降、球界内ではさまざまな意見が交わされてきた。「140試合以上戦うレギュラーシーズンの成績がないがしろにされる」「いや、首位チームが独走状態になってもCS争いに興味が移り、消化試合が減るので面白い」などなど…。

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 こうしたさまざまな意見の中で、批判的な声が規定の見直しにまで至らなかった理由は、最終結果がある程度の許容範囲だったからではないか。制度導入以降、11年間でCSに進出した66チームの中でシーズンで負け越して出てきたのは4球団だけだ。09年のヤクルト(71勝72敗1分け)、13年の広島(69勝72敗3分け)、15年の阪神(70勝71敗2分け)、16年のDeNA(69勝71敗3分け)。いずれも3位で出場し、CSで敗退。日本シリーズ出場権は得ていない。

 リーグ3位からファーストステージ、ファイナルステージ、日本シリーズを勝ち抜いたのは10年の千葉ロッテだけ。この年のロッテの公式戦成績は75勝67敗2分けで貯金8だった。当時、ロッテの躍進は「下克上」と呼ばれて、むしろCSの醍醐味(だいごみ)と評価された。

 今季のセ・リーグはどうだろう。2位のヤクルトは残り21試合で60勝61敗1分けの借金1。3位の巨人は残り17試合で60勝63敗3分の借金3、4位の阪神は残り27試合で54勝61敗1分の借金7だ。広島が春先から快調に勝ち続ける中で、これといった優勝を左右する大一番もなかった。もし、このままヤクルト以下が勝率5割未満の状況でシーズンを終えたとき、その後に行われるCSのファースト、ファイナル各ステージを野球ファンはどんな思いで見るのだろう。

 「そもそもCSのようなプレーオフ制を導入した理由はプロ野球選手の年俸の高騰にあるんです。FA制度の導入や複数年契約で選手の年俸が高くなったため球団はその分、収入を増やさないといけない。収入を増やす最善の策は試合数を増やすことです。それも興味のある試合を…」

 ある球団首脳の言葉だが、確かにFA移籍にともなう大型契約や1軍選手の最低年俸額が改善されたことで球団の経営は圧迫された。2位以上ならCS開催権を得て、入場収入や放映権料が入るプレーオフ制は、経営者側とすればありがたいシステム。ただ、シーズンを借金で終えたチームが場合によってはリーグの代表となって日本一の可能性もある…という現行制度は、たとえ贔屓(ひいき)のチームがそうなったとしてもファン感覚と乖離(かいり)してはいないか。

 例えばシーズンで勝率5割未満ならCS出場権を失うとか、ファーストステージは消滅するとか…。交流戦でパ・リーグがセ・リーグに大きく勝ち越す最近の傾向が続く限り、来季以降も同じことが起こりかねない。「今年だけ特別だ」なんてタカをくくっているのなら認識が甘いように思う。

(特別記者 植村徹也)

 植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しようへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/ )の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさとと越後屋のスポーツ捕物帖」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/ )、に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」( http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html )ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。