トマトと茄子

夕焼けエッセー

「今日から育てるで~!」

 母の大きな声と一緒に彼らがやってきたのは、約2カ月前、突然のことだった。母の手には苗がふたつ、種類はトマトと茄子(なす)だった。花やら植物やら幾度となく枯らしてきた母。今回も続かないと私は心の中で思った。祖母には、この日から毎日の水遣(や)り当番が任命された。

 次の日から祖母は水遣り当番を遂行。母は仕事から帰ってくると苗をチェックするのが日課となった。この2人の日課はすぐに結果が出始め、苗は縦に横に大きくなり、両者ともすぐに花が咲いたのである。母と祖母は、もちろん大喜び。その後も2人の日課は続き、2つの野菜の成長も順調に進んだ。実をつけた時期も両者一緒だったが、先に食卓へ登場したのは茄子だった。お味噌(みそ)汁に入れて食べた。「おいしい」。みんなが自然とつぶやいた。

 その言葉が聞こえたのか、「もっと登場したるで~!」と言うように、茄子はその後もどんどん実をつけ、我(わ)が家の食卓レギュラーになったのである。しかし、トマトは「私はゆっくりおいしくなります」と言っているかのように、まだのんびり赤色に変化している。

 私が心を病み、会社を休職したのも、彼らが我が家にきたのと同時期だった。毎日泣いていた私に、各々(おのおの)の成長の仕方を見せてくれた。その姿は自然と私の背中を押してくれた。私も茄子のように何度も実をつける人間に、そしてトマトのように焦らず自分のペースで生きていきたい。トマトと茄子よ、私も頑張ります。

山崎理恵子(24) 大阪市住吉区