豪雪で財政難の福井市、新幹線開通控え「次の雪」におびえる

関西の議論
2月、車が立ち往生した福井県内の国道8号(右上から下)。豪雪への対応で財政難となった福井市は緊縮財政を掲げるが…

 2月の豪雪の影響で平成30年度決算が赤字の見込みとなった福井市が財政再建計画を発表した。事業の見直しや人件費の圧縮、公共施設の民間譲渡などで30~35年度に約160億円の財政効果を上げ、底を突いた財政調整基金30億円以上の確保を目指す。ただ、同市は31年4月の中核市移行のスケジュールで動いており、35年春には北陸新幹線福井開業も控える。緊縮財政下での大型案件はギリギリの対応を求められている。

コストカット

 「計画していた事業が実現できないのは、うそつきといわれるかもしれない」。東村新一市長は8月20日の記者会見でこう述べ、頭を垂れた。

 財政再建計画には事業の縮減や中止(81億5800万円)、職員の適正配置などによる人件費圧縮(20億3200万円)のほか、団体への補助金一律10%カットといった市民活動に影響を与えそうな項目も含まれる。一挙に片付けるには市有財産の売却による穴埋めが理想だが、「そこまで大きな財産は…」と市の担当者はこぼす。

 近年の市の財政を圧迫した案件には北陸新幹線の開業などの大型事業や学校の耐震化などによる建設費の膨張がある。新幹線開業に備え、平成28年にオープンしたJR福井駅前の再開発ビルは、総事業費141億円のうち50億円を市が負担。周辺の道路整備などにも約195億円を計上するなど、20~28年度の建設事業費は1500億円を超えた。

 東村市長は35年度まで、新たな大型の施設整備は行わず、新幹線開業への影響は避けるとしたが、開業まで5年を切った段階での財政難に懸念は残る。

貯金の積み増し

 もっとも使いやすい、行政の貯金に当たる財政調整基金の枯渇も課題だ。総務相の指針によると、基金の積立額は標準財政規模の10%が目安とされ、福井市はおおむね58億円程度となる。

 しかし、市の基金は17年度末の約31億円をピークに、大型事業を抱えた年に取り崩しを行った結果、豪雪の今年2月時点で残高は7億円しかなかった。豪雪での除雪経費は約50億円。基金を取り崩しても足りず、29年度の一般会計は2億円の赤字。穴埋めしても30年度予算の財源が不足し、職員給与をカットすることになった。

 市は財政再建計画で30億円以上の積み立てを目指すが、現在のところ恒常的なコストカットでじわじわと積み上げていくしか道はない。東村市長はもともと脆弱(ぜいじゃく)化していた基金を踏まえ、「赤字にならなくても、財政構造が悪化していた」と認めており、一時的な打開策ではなく、継続した財政の構造変革が求められている。

次の豪雪

 また豪雪が来たら…。市の関係者が気にするのは次の非常事態だ。

 2月の豪雪では北陸自動道が通行止めになり、石川、福井両県にまたがる国道8号で大規模な立ち往生が起きた。これを教訓に、国土交通省近畿、北陸両地方整備局は国と県、関係機関がとる対応を事前に時系列で整理した「タイムライン」の策定を進めている。

 中日本高速道路や自衛隊、気象台も連携し、通行規制開始予想日時の72時間前からの行動をあらかじめ定める。車両待避場所のほか、カメラ増設による監視体制の強化も盛り込む。

 初期対応を早めることで混乱を避けるという目的だが、時間が早まる分だけ、実質的な行政の負担は人件費だけでも増えることになる。

 天候は誰にも予測できないだけに財政の備えは必要だが、2月豪雪並みの災害に備えようとすると、緊縮中の市の財政が再び窮地に陥るのは目に見えている。災害対応と財政再建のはざまで福井市は苦慮している。