【アジア大会】日本のお家芸に苦言 - 産経ニュース

【アジア大会】日本のお家芸に苦言

男子66キロ級決勝 韓国・安バウル(右)に一本負けした丸山城志郎=ジャカルタ(共同)
空手女子個人形決勝 演技する清水希容=インドネシア・ジャカルタ(松永渉平撮影)
 2年後の東京五輪の前哨戦として代表選手たちが臨んだジャカルタ・アジア大会は、メダル獲得が期待される主要競技で明暗が分かれた。柔道は「一線級」の選手が出場しなかったとはいえ、男子は7階級中5階級で金メダルを逃し、惨敗。レスリング女子も五輪を含めて初の優勝者なしに終わり、課題が浮き彫りになった。
 柔道は東京五輪新種目の混合団体戦で優勝を果たしたが、個人戦では、女子が7階級中6階級を制したのに対し、男子は期待を裏切る形になった。
 過去の世界大会で実績がある66キロ級の丸山城志郎(じょうしろう)(ミキハウス)は決勝で2016年リオデジャネイロ五輪銀メダリストの安(アン)バウル(韓国)に開始50秒で一本負け。リオ五輪王者で90キロ級のベイカー茉秋(ましゅう)(日本中央競馬会)も銅メダルに終わった。
 優勝は同五輪金メダルの73キロ級、大野将平(旭化成)、100キロ級の20歳、飯田健太郎のみで、全日本男子の井上康生(こうせい)監督は「課題の残る厳しい戦いだった」と硬い表情で総括した。
 他国のレベルが上がっており、韓国は3階級を制覇。ウズベキスタンなど中央アジア勢も1階級ずつ勝った。日本は今大会、20日開幕の世界選手権(バクー)に出場しない「2番手以下」の選手をアジア大会に送り込んだが、日本のトップクラスの選手の実力は拮抗(きっこう)しており、アジア勢は東京五輪でも手ごわいライバルになりそうだ。
 ■空手、鍵は先制点
 東京五輪で新たに採用される空手は金メダル4個を獲得した。前回の韓国・仁川(インチョン)大会の3個を上回ったが、実績がある選手たちの活躍が目立ち、若手の底上げは示されなかった。
 演武の切れや力強さ、美しさを判定する形は女子の清水希容(きよう)(ミキハウス)、男子は喜友名(きゆな)諒(劉衛流龍鳳会)が優勝。蹴りや突きで点を奪い合う組手は男女各3階級に出場し、男子84キロ級を荒賀龍太郎(荒賀道場)、女子68キロ超級を植草歩(JAL)が制したが、共通するのは4人とも世界選手権王者という点だ。
 海外勢が日本の選手の特徴をよく研究されており、敗戦した選手は得意の攻撃パターンが読まれていたという。東京五輪では全8種目制覇が目標だが、林晃(こう)監督は「このままでは厳しい。死に物狂いでさらに頑張りたい」と語った。
 ■国際大会初の無冠
 日本のお家芸、レスリング女子はリオ五輪金メダリストの62キロ級、川井梨紗子(りさこ)(ジャパンビバレッジ)や世界王者の53キロ級、奥野春菜(至学館大)はともに銅メダル。全6階級で金メダルがなく、2002年アジア大会(韓国・釜山)、04年アテネ五輪から正式競技に採用されて以降、初めて主要国際大会で無冠に終わった。
 レスリング界は、パワーハラスメント問題で日本協会強化本部長を辞任した栄和人(かずひと)氏の騒動に揺れた。女子の笹山秀雄監督は影響を否定したが、「試合を見ているとタックルに入り込めていない選手が多い。以前だったら始まったらすぐ入る感じだった。それくらいでないと勝てない」と反省点を口にした。
 日本代表の西口茂樹チームリーダーも「日本の女子の武器は速いタックル」と、今後の強化の課題を口にした。10月20日開幕の世界選手権(ブダペスト)で、日本女子勢がどう巻き返すか、注目される。(岡野祐己)