【エンタメよもやま話】米不動産バブル、西海岸の街は「ホームレス」&「人糞」だらけ サンフランシスコの嘘のような話 - 産経ニュース

【エンタメよもやま話】米不動産バブル、西海岸の街は「ホームレス」&「人糞」だらけ サンフランシスコの嘘のような話

“不動産バブル”のせいで増加するホームレスの人糞に悩むサンフランシスコ市で9月から「プープ・パトロール(ウンコ・パトロール)」が活動を始めるとのニュースを報じる米紙サンフランシスコ・クロニクル(電子版8月14日付)
 さて、今週ご紹介するエンターテインメントは、またまた米国で注目を浴びる西海岸のあの街のお話でございます。
 産経ニュース7月20日付の本コラム「年収1200万円は“低所得”米西海岸の不動産バブル事情」
https://www.sankei.com/west/news/180720/wst1807200002-n1.html
でもご紹介したように、米カリフォルニア州北部にあり、ロサンゼルスやサンディエゴとともに、いわゆる米西海岸を代表する街のひとつであるサンフランシスコでは、湾岸地域の南部、シリコンバレーに居を構えるグーグルやフェイスブックといった世界的なIT(情報技術)企業の高給取りの社員たちをはじめ、海外の超富裕層たちがこぞって持ち家やマンションを購入。
 そのため、不動産価格が暴騰し、想像を絶する大変な状況に陥(おちい)っているわけですが、今回の本コラムでは、そんなサンフランシスコの“不動産バブル”が生み出した俄(にわか)には信じ難い現状をご紹介いたします。
▼【エンタメよもやま話】年収1200万円は“低所得”米西海岸の不動産バブル事情
■超富豪の邸宅ずらり…でも「うんち、道路に!」苦情1.5万件…
 8月14日付のサンフランシスコの地元紙サンフランシスコ・クロニクル(電子版)や米金融経済系ニュースサイト、ビジネスインサイダー、同月18日付の英紙ガーディアン(電子版)などが驚きをもって伝えているのですが、前述した“不動産バブル”のせいで、賃貸物件の家賃が急騰したり、物価がやたらと上がったり、大規模な都市開発で住む場所を追われるなどした人々がホームレスとなる例が多発。
 多くの通りで彼らのものとみられる「人糞」が目立つようになり、市に苦情が殺到しました。そこでサンフランシスコ市では9月から、そうした人糞を清掃する専門チーム「プープ・パトロール(ウンコ・パトロール)」が活動を始めたというのです。
 現在、市には“通りに人糞がある”との苦情が1日あたり65件もあるといいます。既に今年1月1日から8月13日までで、苦情の累計は1万4597件。10年前の400%増です。
 公的団体の調査によると、2017年時点で、市の人口88万4000人に対し、ホームレスの数は7499人。うち49%はダウンタウンで生活しているといいます。
 その状況を詳しく調べようと、地元のテレビ局NBCベイエリアが今年2月、取材チームを組んで、市内の153ブロックを3日間にわたり、くまなく調査しました。すると驚愕(きょうがく)の事実が明らかになりました。
 ほとんどの通りには巨大なごみの山や食べ物が。さらにダウンタウンの一帯では、捨てられた注射針100本、人糞300個が見つかったのでした。
 この状況について、米カリフォルニア大学バークレー校の教授で、感染症やワクチンに関する専門家で知られるリー・ライリー氏は8月1日付のNPR(米公共ラジオ局、電子版)に「(通りの)汚染状況は、ブラジルやケニア、インドよりもずっと悪い」と呆れました。
 ライリー教授は、世界の最貧困地域における極端な貧困状況が、そこに住む人々の健康にどのような影響を与えるかという研究にも従事していることから、この発言、全米でリアリティーを持って受け止められているのです。
■うんち原因、C型・B型肝炎、HIVに…
 ライリー教授によると、こうしたホームレスの人糞が乾燥すると、乳幼児に激しい下痢の原因となるロタウイルスといった危険なウイルス感染の危険があると指摘。さらに、廃棄された注射針でけがをすることなどで、C型肝炎やB型肝炎、さらにはHIV(ヒト免疫不全ウイルス)への感染が拡大する恐れがあると警告しました。
 というわけで、ロンドン・ブリード市長と、市の公共部門の責任者ムハンマド・ヌル氏が協議し、「プープ・パトロール」が登場することになったというわけです。
 パトロール隊は5人編成で、スチーム・クリーナーを備えた車両とともに市内の通りをくまなく巡回。人糞を見つけ次第、スチーム・クリーナーで除去するといいます。実際、市民の怒りは相当なもので、とある住民が、どの通りに人糞が多いかひと目で分かる「プープ・マップ」をネット上で公開し、それをメディアが取り上げるといった具合です…。
 リード市長は最近の米NBCとのインタビューで「私はこの街で育ったが、歩道にはかつてより多くの人糞がある」と明言。そして「これは大きな問題である。われわれは、犬の糞についてではなく、人の糞についての話をしているのだ」と述べ、問題の深刻さを訴えました。
 またヌル氏も「間違いなく今がチャレンジの時だ」と前置きし、「われわれのチームは、ホームレスがテントを張って生活するなど、彼らが荒廃させた地域に焦点を当て、その一帯の清掃を心がけている」と説明。「彼らは街の通りをトイレとして使っている。それは(放置しておけば)間違いなく、別の問題を引き起こす」と述べ、「プープ・パトロール」の意義を強調しました。
 また、同時に市では、現在、市内に22カ所ある公衆トイレについて、使用可能な時間を現在の午後~夕方までから、さらに延長するとともに、約100万ドル(約1億1000万円)をかけて、新たに5カ所の公衆トイレを新設する方針も明らかにしました。
 こうした施策も含め、市では、今後2年間の道路清掃予算計6500万ドル(約71億5000万円)に、新たに約1300万ドル(約14億3000万円)を追加する考えを示しています。
 いやはや。気候的にも環境面でも全米屈指の住みやすさを誇ったサンフランシスコの街が、ホームレス&プープーだらけになっているとは驚きですが、この一件を報じる欧米の各メディアは、その主原因が、昨今の当地での急激な“不動産バブル”にあるとの論調で報じています。
 実際、8月14日付の米経済誌フォーチュン(電子版)は、はっきりこう書いています。
 <サンフランシスコの多くのハイテク・ワーカーが享受している富について考えれば、問題はより明確になる。今年の7月、地元の不動産会社は、サンフランシスコの住宅価格が今年半年間で20万5000ドル、日本円にして約2250万円も値上がりし、半年間の値上がり額でみれば、ここ四半世紀で最高を記録したと発表した>
 確かに半年で約2000万円の値上がりなんて聞いたことがありませんね。
 また、前述のビジネスインサイダーも、サンフランシスコではベッドルームが2つある住宅の月額家賃の中央値は3090ドル(約34万円)で、全米の平均(1180ドル→約13万円)の2倍をはるかに上回っていると説明。
 そのため、今年初めの公式団体の調査によると、手頃な価格の住宅の不足などで、サンフランシスコの市民のうち、マイホームを購入できる財力があるのは全体のわずか12%に過ぎないのだとか。
 サンフランシスコ市では今年、手頃な価格の住宅供給とホームレス対策に2億8000万ドル(約308億円)を投入します。この額、5年前の4割増です。果たして、ホームレスを減らせることができるのでしょうか…。
 因みに、サンフランシスコ以外でも“不動産バブル”の影響で手頃な価格の住宅が不足している米カリフォルニア州西海岸の都市、シアトルやロサンゼルス、サンディエゴ、サクラメントなどでもホームレス問題の深刻化が囁(ささや)かれ始めています。
 昨年の12月6日付のNPR(米公共ラジオ局、電子版)によると、米住宅都市開発省(HUD)の昨年1月時点の調査で、全米のホームレスの数が前の年より0・7%増の55万3742人になり、2010年以降、初めて対前年比で増加に転じたのでした。
 全米全体でみれば、ホームレスの数は2010年に比べて13%減っていましたが、ロサンゼルスは何と対前年比で26%も増えていました。
 そして、このNPRの記事の見出しはこうでした。
 「西海岸での手頃な価格の住宅の不足という危機により、ホームレスが増えた」
 もともと米国の中でも気候が温暖なことから、ホームレスが他地域より多い西海岸なのですが、ウンコだらけのサンフランシスコの街はどう考えても異常です。団塊世代の憧れの地だった米西海岸が“不動産バブル”でホームレスの一大拠点になってしまうのでしょうか…。   (岡田敏一)
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 【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当を経て大阪文化部編集委員。ロック音楽とハリウッド映画の専門家。京都市在住。
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